「Amazon.co.jp(以下、Amazon)」での売り上げを伸ばすには、「セール」の活用が有効だ。スマート家電を中心に取り扱うECサイト「+Style(プラススタイル)」は、2021年6月に開催された大型セール「Amazon Prime Day(プライムデー)」において、わずか2日間で1億5000万円を売り上げた。運営元のBBソフトサービス(東京・港)で、プラススタイル事業を率いる取締役執行役員の近藤正充氏が、Amazonでのセールの戦い方を解説する。

 前回までの2回で、「自社商品」と「他社商品」の販売テクニックについて解説してきた。Amazonでの販売では、Amazonならではの機能を把握し、細かく対応していく必要があると分かってもらえたのではないだろうか。すべてを一度に理解する必要はなく、実際の運用をしていきながら何度でも読み返して自分のスキルにしてもらえるとうれしい。

 さて今回は、ECモールで戦ううえで、もっとも大切といえるセールについて解説していく。特に年に1、2回ほどしか開催されない「ビッグセール」は、販売者にとって大商いの場だ。Amazonにおいてもセールをどう戦うかにより、セール期間中はもちろん、セール後の売り上げも大きく左右される。なお今回もAmazonに自社で出品して販売するマーケットプレイス機能(セラー)利用者向けの解説であることを付け加えておく。

2022年12月1日まで行われていたAmazonブラックフライデーは、年末に行われる注目のビッグセール
2022年12月1日まで行われていたAmazonブラックフライデーは、年末に行われる注目のビッグセール

ポイント1:参加できる「セール」はすべて参加すべし

 Amazonにおけるビッグセールとは、「プライムデー(年によって開催月が異なるが、7月に行われることが多い)」と、「ブラックフライデー(11月最終週に開催)」の2回。米国などでは3回行われることもあるが、日本は2回のみの開催となっている。それ以外にも1月には「初売りセール」、3月に「新生活セール」も開催されるが、より売り上げの規模が期待できるのはプライムデーとブラックフライデーの2つだ。すべての出店者は、このビッグセールに照準を合わせて毎日の運用を行っていると言っても過言ではない。

 Amazonでのセールはほかにも、毎日行われている「特選タイムセール」や、商品カテゴリーごとに実施されているセール(当社が扱う商品ジャンルの場合、「スマートホームセール」が実施されている)などもある。そのため、自社で扱う商品のカテゴリーでどのようなセールが開催されているかを、事前にしっかり確認しておく必要がある。

 セールに参加するには「エントリー」が必要だ。エントリーとは、Amazonからセールに関する情報がメールで送られてくるので、その内容に従って申し込みをすること。可能であれば、エントリーできるセールには「すべて参加」しておきたい。セール価格にしなくても売れる商品を販売しているのなら話は別だが、ほとんどの商品はセールにエントリーして販売数を伸ばすことが、その後の販売数量に大きく影響してくるため、セールで実績を出すことは非常に重要だ。

 ただ、すべてのセールにエントリーできない場合もある。特に「期間」はよく確認しておきたい。一般的なECモールでは出店者に対して「セールとセールの間は10日空ける」などのルールを定めており、連続してセールに参加できない場合がある。ビッグセールの手前の小規模なセールに参加してしまったために、せっかくのビッグセールにエントリーできなくなってしまっては本末転倒だ。特にAmazonの場合は、プライムデーとブラックフライデーの前は注意しておきたい。

ポイント2:通常の価格設定はビッグセールを意識して値付け

 セールを戦ううえで必要な準備としては、「いくらで出すか(価格)」と「何を出すか(商品)」の2点がある。まず1つ目の価格について。商品カテゴリーによっても異なるが、ビッグセールではその年に販売した最低価格でエントリーしないと対象から外れてしまう恐れがある。かつ、お得になる割引率(例えば定価の30%OFFなど)を設定しなければならない。そのため、Amazonにおける販売価格の設定は、ビッグセールでの販売価格から逆算して、通常価格を決めるとよい。

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