「既製品(メーカー商品)」を仕入れ、「Amazon.co.jp(以下、Amazon)」で売るにはどうすればいいか? 2021年6月に開催された大型セール「Amazon Prime Day(プライムデー)」で、わずか2日間で1億5000万円を売り上げたスマート家電を中心に取り扱うECサイト「+Style(プラススタイル)」。運営元のBBソフトサービス(東京・港)で、プラススタイル事業を率いる取締役執行役員の近藤正充氏が、Amazonで既製品を売る秘訣を解説する。

メーカーや卸会社から仕入れた「既製品」を企業が「Amazon.co.jp」で販売する際、競合ひしめく状況の中で、どのようにしてユーザーに自社が販売している商品を選んでもらうか。そのコツを近藤氏が解説する(画像/Shutterstock)
メーカーや卸会社から仕入れた「既製品」を企業が「Amazon.co.jp」で販売する際、競合ひしめく状況の中で、どのようにしてユーザーに自社が販売している商品を選んでもらうか。そのコツを近藤氏が解説する(画像/Shutterstock)

 前回は、「自社商品」を販売するうえで気を付けるべきポイントを解説した。商品ページの作り込みやブランド登録、プライムマーク取得など、基本として押さえておきたい6つの項目は大事な要素なので、ぜひ本記事とあわせて第1回の記事も読んでみてほしい。

 さて今回は、企業が卸会社やメーカーから仕入れる「既製品」の販売テクニックについて解説する。Amazonで商品を販売するアカウント数は、数十万にも上ると言われている。一般的に流通している既製品は扱う企業が多く、競争が激しいうえ、商品そのものの便益で差異化が図れない。そのため、単純な価格競争に陥りがちだ。

 競合ひしめく状況の中で、どのように自社が扱っている商品を選んでもらうか。それを知るうえで、Amazonの仕組みを理解することから始め、そこからテクニックについて説明していきたい。今回もAmazonに自社で出品して販売する「マーケットプレイス機能(セラー)」についての解説であることを付け加えておく。

1商品にカートボックスは1つがAmazonの特徴

 繰り返しになるが、既製品ということは、メーカーもしくは卸会社から仕入れている商品となる。つまり、自社以外にも同じ商品を販売する会社があるということだ。

 はじめに理解しておきたいのは、Amazonは1つの商品に対して用意されている「購入ボタン(Amazon用語では「ショッピングカートボックス」と呼ばれる。以下、カートボックス)」は1つということ。「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」などの他のECモールは、出店社ごとに販売ページを作成するため、同じ商品の販売ページがたくさん出来上がる。そのためECモール内で商品を検索した場合、検索結果に同じ商品が多く並ぶことになる。

 対してAmazonの場合は、1商品に1つのカートボックスのみなので、基本的には商品の検索結果に同じ商品が並ぶことはない。これは購入者を迷わせないためといえるだろう。

 具体的な仕組みはこうだ。Amazonの商品は、「ASIN」という商品識別番号で管理されている。そのASINを登録する場合、商品のJANコード(日本の統一商品コード)が必要になる。JANコードが同じ商品は、同じASINとなり、1つのカートボックスで管理される。逆に同じ商品でもJANコードが違えば違うASINとなり、販売ページは別になる。こういうシステム面から見ても、Amazonでの戦い方は、他のECモールとは全く異なる方法になるのだ。

 カートボックスを取得している出店社を確認するには、販売ページの「カートに入れる」の下段にある「販売元」と記載されている部分を見るといい。ここに「商品を売っている出店社」が表示され、Amazonが販売している場合は、「Amazon.co.jp」と記載される。ちなみに出荷元は、「商品を配送する業者」を指す。自社倉庫から配送する場合は自社名、「フルフィルメント by Amazon(FBA)」から配送する場合は「Amazon」と表記される。

 当社が既製品を自社で販売し、FBAを使って配送する場合は、「出荷元:Amazon、販売元:+Style(プラススタイル)」という表記になる。FBAを活用している当社が他社商品を販売する場合は、ほとんどこのパターンだ。

右側にある「カートに入れる」の下段に、「出荷元:Amazon、販売元:+Style(プラススタイル)」と記載されているのが確認できる(画像提供:BBソフトサービス)
右側にある「カートに入れる」の下段に、「出荷元:Amazon、販売元:+Style(プラススタイル)」と記載されているのが確認できる(画像提供:BBソフトサービス)

値動きや在庫数を確認して効率よく運用する

 さて、カートボックスが1つということは、そのカートボックスを獲得するためにどうすればよいかという疑問が生まれる。Amazonでは、カートボックスの取得に対して以下のようなルールを明示している。

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