スマート家電を中心に取り扱うECサイト「+Style(プラススタイル)」は、大手ECサイト「Amazon.co.jp(以下、Amazon)」の活用にたけている。2021年6月に開催された大型セール「Amazon Prime Day(プライムデー)」では、わずか2日間で1億5000万円を売り上げた。本連載では+Style運営元のBBソフトサービス(東京・港)で、プラススタイル事業を率いる取締役の近藤正充氏がこれまでの実績を基に、Amazonを“ハック”し、売り上げを伸ばすための秘訣を解説する。

Amazon.co.jpで展開する「+Style」のページ
「Amazon.co.jp」で展開する「+Style」のページ。同ブランドを展開するBBソフトサービス(東京・港)は、大型セール「Amazon Prime Day(プライムデー)」で2日間の売り上げが1億5000万円に達した。本連載ではそうした成果を上げた経験を基に、Amazonで売れるノウハウを明かす

 新型コロナウイルス感染症の拡大以降、EC市場の成長が加速した。2021年の国内BtoC(消費者向け)のEC市場規模は20年と比べて約7%増の20兆6950億円となり、初の20兆円台を突破した(経済産業省「2021年度電子商取引に関する市場調査」より)。とはいえ、成長市場だからといって、何の戦略も持たずにECを始めるのは得策とはいえない。事前に知っておくべきことをリサーチし、勝つための作戦を練ることが必要になる。

 本連載では、日本最大級のECプラットフォームであるAmazonを中心としたEC運用のノウハウを5回に分けて紹介する。多くの事業者が抱える「ECサイト運営の悩み」の手助けになれば幸いだ。また本連載は、Amazonに出品して、自社で販売するマーケットプレイス機能の利用者(セラー)を中心とした内容であることも付け加えておく。

「商品」の種類によっても戦略は異なる

 ECサイトで販売する商品は、販売者目線でいうと2通りある。1つは「自社商品」、もう1つは「他社商品(メーカーからの仕入れ販売商品)」だ。このどちらを扱うかによっても、Amazonの攻略方法は変わってくる。

 スマートフォンやスマートスピーカーと連係して操作できるスマートプロダクトと呼ばれるデバイスを中心に扱う当社は、自社ブランド「+Style」として展開する自社商品と、照明一体型プロジェクターの「popIn Aladdin(ポップイン・アラジン)」やスマートロック「Qrio(キュリオ)」といった他社商品のどちらもAmazonで販売している。

+Styleでは、自社商品と他社商品の両方を扱う。連載第1回は、自社商品の売り方について(画像提供/近藤正充)
+Styleでは、自社商品と他社商品の両方を扱う。連載第1回は、自社商品の売り方について(画像提供/近藤正充)

 第1回は、自社商品を売るためのノウハウについて解説していく。自社商品は、卸販売をしていない限りは「同じ商品を販売する事業者がAmazonにいない」ことになる。つまり、独占販売だ。販売価格やクーポンなどの設定が自由なので、重要なのは、「商品ページの訪問者数」と「購買への転換率」になる。

 この2つのポイントを押さえるには、次の6つの対策が必要だ。順番に説明していこう。

(1)商品ページはちゃんとつくり込まれているか
(2)狙ったキーワードで自然流入があるか
(3)効率よく広告は運用できているか
(4)セール対策はできているか
(5)ブランド登録はされているか
(6)「プライムマーク」は取得しているか

商品ページはスマホからでも見やすいように

(1)商品ページはちゃんとつくり込まれているか
 まず1つ目、これはつまりAmazon内でのSEO(検索エンジン最適化)対策を指す。利用者が目的の商品を検索したときに、上位に表示させることで購入確率を高められる。検索で上位表示されやすい商品ページをつくるうえで重要なのは、必要な項目をすべて埋めること。特に商品ページ内に掲載する「商品画像」が1、2枚しか登録されていない、「商品タイトル」が商品名だけしか記載されていない、「検索キーワードボックス」や商品詳細の「箇条書き」といった項目が未記入といったメーカーを多く見かけるが、これは非常にもったいない。

 商品画像はすべて登録し、かつ画像内で商品が理解できるように説明を入れることが重要になる。画像サイズは1000×1000ピクセル以上は必要。

 最近はスマホでAmazonを利用する人が多いため、スマホの画面で見たときに説明したい内容が商品画像で理解できるようになっているかを意識することが大切だ。写真や文字はできるだけ大きくしておきたい。テキストは少ない文字数で箇条書きを心掛けよう。そして、商品名はSEO対策として重要なエリアになることから、商品名、ブランド名、検索でヒットしてほしい商品の特徴などを順番に入れる必要がある。また、検索キーワードのボックスにも同様に入れてほしい。

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