※日経エンタテインメント! 2022年9月号の記事を再構成
2021年12月に発売したコムドット初の写真集『TRACE』。累計発行部数は33万部を突破し、男性グループ写真集の累積売上部数で歴代1位となっている。手掛けたのは、講談社 第二事業局所属の編集者・小寺智子氏だ。これまでに田中みな実の写真集なども担当し、ベストセラーを生み続ける彼女は、なぜコムドットに白羽の矢を立てたのか。
私が彼らの存在を知ったのは20年12月頃、まだチャンネル登録者数が50万人ぐらいのときでした。初めて動画を見たときに、「彼らの写真集は絶対に売れる」と確信しました。原石とかじゃなく、既にキラキラ輝いていたんです(笑)。各メンバーが違うジャンルのイケメンで、ここにプロの手が加わると、さらに輝くだろうなと。しかも、視聴者との距離が近く、そこに生まれる熱量もとても高かったので、「20万部は絶対にいきます」と当時から宣言していました。
写真集は全4章の構成なんですが、1章はハンサムな彼らを引き立てるクラシカルなスーツスタイル。2章はもともとの“やんちゃ感”を強調しました。
3章では、ファンの方々が動画で見ている自然体な彼らを表現したくて、ヘアメイクも付けず、スタイリングはやまとさんにお願いして、沖縄でロケをしました。現場では「ひゅうがの顔立ちだとこの洋服が似合う」「ゆうまはこの角度から撮影するのがカッコいい」など、やまとさんのメンバーに対する理解度の深さ、プロデュース能力の高さも感じましたね。
4章では、写真集の王道である、読者の方に彼女感を味わってもらえるページに。シーンを想像しやすいように5人には細かく設定を伝えました。「ゆうたさんはホテルのバーで声を掛けてきた女性と一緒に部屋へ」「あむぎりさんは彼女との交際1周年をホテルで祝っている」など、それぞれにストーリー性を持たせて演じてもらっています。皆さんとても表現力があったので、彼らの新たな魅力が伝わるものになったと思います。
幼なじみの空気感は不変
――8月18日に刊行された、やまとがYouTubeの戦略論などをつづった新著『アイドル2.0』。初版15万部と、発売前から異例の部数で話題の今作を担当したのも小寺氏だ。制作の裏側は一体どうなっていたのだろうか。また近しい立場だからこそ分かる、コムドットの魅力の源泉とは。
どういう章立てにして、どんなコンテンツを盛り込むかを、2人で喫茶店にこもって、ノートとペンを片手に延々と話し合いましたね。私もやまとさんもアナログなタイプの人間なので(笑)。担当編集としては、書店で「話題の本」「ビジネス書」「自己啓発本」「タレント本」の4カ所に置かれるような書籍にしたいと考えていました。
タイトルに関しては、その言葉通り、ファンの方との距離感や関係性が、次世代のアイドル性を感じる存在であることから。やまとさんは常々、「僕らはアイドルじゃない、YouTuberだ」と仰っているので、著者と編集者のタイトルに込めた思いは真逆かもしれません。
ちなみに、この書籍は聞き書きではなく、やまとさん自身が全て原稿を書いています。文章からあふれる真っすぐなエネルギーは、本当にすごいの一言に尽きますね。
改めて彼らの魅力や強みについて考えると、やはり小中学時代の友達同士だからこそ生まれる仲の良さでしょうね。圧倒的なリーダーシップを持つやまとさんがいて、他の4人が引っ張られるように最大限のパフォーマンスを発揮する。その裏には、私たちには想像できないほど強固な信頼関係があるんだと思います。
今後も5人には、既存のYouTuberの枠を超えて、どんどん新しいことに挑戦していってほしいです。きっと近い将来、お茶の間のいろんな世代に広く認知される存在になっていくんだろうと思います。