※日経エンタテインメント! 2022年9月号の記事を再構成

YouTubeにとどまらず、写真集やテレビCMなど活動の範囲を広げている5人組YouTuberのコムドット。彼らの活動により、YouTuberへの視聴者の視線も変わったと言われる。やまと自身は、YouTube界やエンタテインメントに対して起こした“革命”をどのように捉えているのか。

(写真/アライテツヤ ヘアメイク/大木利保 スタイリスト/吉田ケイスケ)
(写真/アライテツヤ ヘアメイク/大木利保 スタイリスト/吉田ケイスケ)
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 コムドットは、YouTuberという職業に対してのイメージを、間違いなく変えたと思います。雑誌やテレビやCMといった媒体にも露出して仕事の幅が広がったというのもありますが、何よりも、YouTuberって大変な仕事なんだっていうことを世の中に発信し始めたのは僕たち。そもそも日本人って努力を隠すところがあるし、YouTuberには内向的な性格の人が多いので特にそういう傾向がある。謙遜して、大したことをしてない感じを前に出す人が多かったんです。

 そこに僕は逆張りをかけたんですよね。作品作りや編集作業で頑張ってる姿を見せてYouTuberの印象ごと変えていったら、いろんな人が応援してくれたり、いたわってくれるようになったりした。そうなると、ほかのYouTuberも頑張ってることを素直に発信し始めたりもして。「YouTuberってどうせ楽して稼いでるんでしょ」みたいなイメージを僕たちが積極的に払拭しようと思ってます。

YouTube界にも風穴

コムドットが頭角を現し始めた頃、既に第一線で活躍していたYouTuberと交わった際、どこか「疎外感」を感じたと話す。それが、やまとの行動に今でも影響を与えているという。

 どこの世界も新しく来た人たちに対して「おや?」という空気感が流れると思いますが、それはYouTube界でも感じました。

 もちろんHIKAKINさんみたいに、まだまだ無名だった僕らとコラボしてくださったり、早くから勇気づけてくださる先輩もたくさんいたのですが、YouTube界全体を覆うような、閉鎖的な雰囲気が僕は嫌で。新しいものが出てくるからこそ常に変化して、より面白いものが生まれていく。新陳代謝せずに特定の人たちだけでやっていたらYouTubeのエンタテインメントは停滞してしまうと思ったので、風穴を開けるためにすごく頑張りました。

 選択肢としては、当時のトップYouTuberの勢力に入り込んでいくか、新しい勢力を作るかの2つがあって、僕たちは後者を取ったわけです。大きなところを狙うためには、小さなところが手を組む必要がある。そこで、僕たちと同じぐらいのレベルでまだくすぶってる人と組むことで爆発を狙いました。まずは、“YouTuber新世代”っていう枠組みを作って、コムドットがそれを代表する形で人を集めて、運動会企画や合宿企画をやったりしました。男女問わない、様々な個性が集まった楽しい集団として見せていくことで、新しい世代を確立できたと思ってます。

 今のコムドットは、僕がかつて見ていたトップYouTuberの立ち位置にいるのかもしれないですが、当時僕が感じた疎外感を若手には絶対に与えたくない。僕たちとのコラボが、彼らの人気に火が付くきっかけになってくれたらいいなと思ってるんです。ただ、そういうことができるのって、その若手たちが成長していったとしても僕たちは絶対に負けないっていう余裕があってのことではあります。今のところ、チャンスを与えることに対しての恐怖感はないと言えます。

 今年6月の「革命コラボマンス」の撮影の時に、コラボした若手が「なんでこの時期に僕たちとコラボしてくれるんですか?」って言ってくれたんですけど、僕たちとしても、今、キてる人たちの考え方を知れるってすごく価値のあることなんですよ。こちら側も、いろんなものがもらえる。さらに言えば、こうした交流に金銭のやりとりが発生しないのも、YouTuber同士のコラボのすてきなところですね。

5人で何度も会議を重ねる

今でこそ、地元のバスケ仲間で結成したにもかかわらず、奇跡的にバランスのいい5人が集まったと言われるコムドット。結成2年目で法人化を果たし、やまとはその社長に就任している。そもそも彼らには、YouTuberとしての素質があったのだろうか。

 先天的なものも後天的なものも両方あると思います。まず、先天的な要素で言うと、全員がすごくいいやつなんです。誰も道を踏み外したことがないし、仲間を大切に思ってる。お互いに良い影響を与え合う関係性がずっと築かれてます。“地元の友達”っていうと、腐れ縁とかネガティブなイメージもあると思うんですけど、僕の中ではYouTubeを始める前からずっと大事にしたいと思っていた関係性で。お互いがお互いをリスペクトしているっていう点はすごく重要だと思います。

 後天的なことで言うと、全員がこの仕事に対して真剣に、かつ同じ熱量を注ぎ続けられている点が大きいと思います。グループだと、誰か1人ちょっと遊びたくなったり、休みたくなったりすることも珍しくないと思うんですが、コムドットはこの4年間きれいに足並みをそろえているからこそ、組織的にすごくまとまっている。その部分は、YouTubeの活動を始めて、会議を頻繁にやったりしてのめり込んでいくうちに備わっていった部分なのかなって。

 チームで同じ方向を向き続けるために、しっかり会議をやって、メンバーのモチベーションやメンタルの状態に目を配ることは大事にしてます。仕事がある程度できるようになってくるタイミングで、意外と人のモチベーションって落ちたりするもの。そういう風に感じたら、僕は社長でもあるので、2人でご飯に行って話してみたりしますね。メンバーによっては、「もうちょっとこうしたほうがいいんじゃない?」という意見を言うのが苦手なメンバーもいるので、それをうまく引き出すようにして、なるべく抱えているストレスや不満を減らせるようにしています。

 メンバーのその時の状態を一番理解できるのが、活発に意見が飛び交う会議という場だと思っています。僕は昔から、会議でしゃべらないのはそこに存在していないのと一緒だから、帰っていいよって言ってきてるんですね。特に初期は、結構きつく言ってました。慣れてなくてしゃべれないのは仕方ないけど、意見を出さないのはチームに対して真剣に取り組んでないのに等しい。だから何でもいいから発言してくれって言い続けました。結果、全員が会議でしゃべれるようになりました。そこから、コムドットの会議の質は本当に高くなったと思ってます。

海外のYouTubeは積極的に見る

エンタテインメントの活動をする上で影響を受けた人を聞いたところ、まず挙がったのが前述したような交流もある、HIKAKIN。もう1組名前を出したのが、K-POPアーティストとして世界を席巻したBTSだ。

 現在のエンタテインメント界の最高峰のグループであるBTSがどういう立ち居振る舞いをしているかっていうことからは、影響を受けたと思います。BTSが明確に路線を変えた時期があって、そこで何をどう変えたかに注目して見てみると、そこが新しいエンタテインメントの基礎になる部分だなと感じました。1例としては、ネットやSNSを有効活用してファンダムを形成したことですね。そこから、自分たちのチームに落とし込める部分を見つける。例えば、BTSのファンの人のアカウントを見て、どういうシーンの写真や動画が好きなんだろうっていうことを調べたりもしました。

 あと、海外のYouTubeは積極的に見るようにしています。海外の流行が2~3年後に日本に来るっていう法則性があるので、そのはやりを先取りして、日本のエンタテインメント界を引っ張っていくために情報を摂取するようにしていて。「MrBeast」(※)とかをよくチェックしますね。

※米国のYouTuber。YouTubeで最も稼いだクリエーターと言われている。チャンネル登録者数は9860万人。

舵を取っている楽しさは失いたくない

既存のYouTube事務所やMCN(マルチチャンネルネットワーク)に入らずに、自分たちですべての運営を行う。5人のメンバーをはじめ、6人いるスタッフもすべて地元のつながりか、メンバーの仲間だ。そこには、結成当初からの強いこだわりがある。

 「うちでやらないか」って誘われたこともありますけど、どこにも所属せずに、自分たちの舵取りは自分たちでやり続けています。たとえ失敗したとしても、舵を取ってるっていう楽しさを失いたくないんですよ。もちろんプロフェッショナルの方からアドバイスをもらったりもしますが、最終的に決めるのは自分たち。その納得感ですよね。

 僕たちは数字を掲げて結果を求めているようで、自分たちが何をして何を得られたかっていうプロセスの部分も求めてる。どういう風に頑張って結果を得たかっていうところが、結局今までの自分たちの糧になってるんで。それもあって、自分たちで決めるっていう納得感は守っていかなきゃいけないと思っています。仲間だけで活動することの、限界を感じたことはまだないですね。まだすべてを試していないのに、限界を感じるというのは、僕は違うと思うので。