※日経エンタテインメント! 2022年9月号の記事を再構成

2022年上半期は各インフルエンサーランキングを総ナメし、CMやテレビへの出演が相次ぐなど、ネットに留まらない活躍を見せている5人組YouTuberのコムドット。グループの頭脳であり、様々なアイデアと行動力で全体を引っ張るリーダーのやまとが考えるエンタテインメントとは?

(写真/アライテツヤ ヘアメイク/大木利保 スタイリスト/吉田ケイスケ)
(写真/アライテツヤ ヘアメイク/大木利保 スタイリスト/吉田ケイスケ)
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 今年7月、チャンネル登録者数が350万人を突破したコムドットは、やまとが大学在籍時の2018年、ゆうたともにYouTubeチャンネルをスタートさせた。その後、ロジカルかつ大胆な戦略の下、4年で大きく成長。個人でも20年に著した『聖域』は累計40万部を突破し、今年8月には新著『アイドル2.0』を発売するなど精力的に活動している。

 彼らの動画は、メンバー5人が様々な企画に挑戦するのが主なスタイル。「地元ノリを全国に」のスローガン通り、ラフなスタイルで親近感を抱かせる“あんちゃん”5人が、わちゃわちゃと楽しそうに遊ぶ姿が人気の秘密だ。

 チャンネル登録者数を50万人から300万人へと激増させた20年から21年にかけては、それまでのYouTubeの常識を破るような動画投稿や企画を実施。ほかのYouTuberとのコラボ動画の連続投稿、トレンドに反した60分前後の長尺動画への転換、遊ぶ姿だけでなくメンバーが長時間編集に真剣に取り組む姿を追った動画などが、その一例だ。

 時には、企画らしい企画もなく、ただドライブする姿を追うだけの動画もあるが、それが一晩で100万回再生を超える。いまや、メンバー5人のキャラクターを理解し、彼らが何を話しどう行動するかに注目する層が存在し、強固なファンダムを形成している。

 ここまでコムドットを引っ張ってきたYouTube界の革命家とも言えるやまとに、エンタテインメントに対する捉え方や、主戦場であるYouTubeをどう見ているのかを、まず聞いてみた。

YouTubeはエンタテインメントのあり方を決定的に変えた

 僕はそもそも、何が何でもエンタテインメントをやりたいっていう気持ちはなくて、地元の友達と起業して名を上げるっていうことを、まず考えていました。ただ、もともと人前に出ることと誰かを笑わせることが好きなので、エンタテインメントに興味はあったんだと思います。僕にとってエンタテインメントとは、人を楽しませることであり、人を動かすことなんです。YouTubeは、エンタテインメントのあり方を、決定的に変えたと思います。誰でも気軽に発信ができるようになったし、僕の感覚でいうと、エンタテインメントが自由になったんです。

 そのなかで出てきたコンテンツは、同じ映像メディアであるテレビと比べて、とてもリアルです。自然と僕たちの人間味が染み出ている。僕たちは動画を撮る際に、一切台本も作りませんが、それができるのは、即興で何でもできる演者としての能力を全員が持ってるから。これまで1300本動画を撮ってきて、どんな企画でも面白くしようとする力を育んできました。

 台本がないからこそ、リアルな動画になる。エンタテインメントは最近、どんどん“潔白さ”が求められるようになっていますが、うまくいかなくても、配信してもいいのがYouTube。実際は、100%潔白な人間はいません。ミスをしたらきちんと謝ってそれを教訓に次に進めばいい。そういうところが視聴者と近いからこそ、僕たちのコンテンツを含めたYouTube上の動画はいろんな人に刺さってるんだと捉えています。

テレビとYouTubeの違いについて

 YouTubeとテレビは、そもそもの性質が違います。先日、テレビ局の方とお話しする機会があって、「作られている番組のターゲットはどの層ですか?」と聞いたら、「みんなです」という答えが返ってきました。テレビは誰が見ても問題がないように、マスに向けて作ることを宿命づけられているのだと感じました。

 YouTubeは様々なジャンルの部屋があって、それぞれに視聴者の人が集まって動画を見る。そうなると、クリエーターが発信する動画の内容はマスである必要がない。明確なターゲットをイメージした上で動画を作れるのが大きな違いだと思ってます。

 あと、テレビは放送時間が決まっているなど制限が多い。一方のYouTubeは、ターゲットに応じて自由に配信時間を設定できる。クリエーターがコントロールできる変数が多いんです。それに、テレビは視聴者からのフィードバックを受けにくいですが、YouTubeはコメント欄があり、動画の評価が一目で分かる。僕はこの商売しかやったことないですけど、YouTubeはよりしっかりと考えているクリエーターが生き残っていく業界だと思ってます。

 このYouTubeとトラディショナルメディアとの差を理解していないと、今新しいエンタテインメントを作るのは難しいんじゃないかなと思います。僕たちは活動を開始してまだ4年ですし、YouTubeもこれからどんどん変わっていくと思うので、それに対応していけるクリエーターでいたいと思っています。

 もちろん、面白いと感じる番組もあります。例えば『水曜日のダウンタウン』(TBS系)は、企画やコンテンツも面白く、チャプターに分けられているような構成なので、YouTubeのように見やすいですね。

 これはいろんなことに通ずると思うんですが、僕は「作り手のこだわり」を表には出さないほうがいいと思ってるんです。結局楽しみ方は視聴者の人が決めるもの。面白いかやかっこいいかの判断って主観ですよね。だから、自分たちが面白いものやかっこいいと感じるような、内側での基準を満たすものを出して視聴者に好きに楽しんでもらう。もちろん自分たちが面白いと思う動画を作るために、裏ではとことんこだわります。その自己満足が、クオリティーを上げていると思ってます。

(後編へ続く)