千葉・幕張メッセで2022年9月15日、世界最大級のゲーム・コンテンツ見本市「東京ゲームショウ2022」(主催:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会、共催:日経BP社、電通)が幕を開けた。3年ぶりのリアル開催で、37の国と地域から605の企業・団体が出展する。21年と同様に公式番組を配信、Steam(米Valve社)と連携した専用の「Steam特設会場」ページや、バーチャル会場「東京ゲームショウ VR 2022」など、オンラインとのハイブリッド形式で行われる。
3年ぶりのリアル開催となった「東京ゲームショウ2022」。先立って開かれたオープニングセレモニーでは、CESA(一般社団法人 コンピュータエンターテインメント協会)会長の早川英樹氏、日経BP社長の吉田直人氏、電通 執行役員の福本勝彦氏、経済産業省大臣官房審議官IT戦略担当の藤田清太郎氏、JAPAN国際コンテンツフェスティバル実行委員会委員長の迫本淳一氏が登壇した。
CESAの早川会長は、「3年ぶりにリアル開催ができて大変うれしい。オンラインとリアル会場のハイブリッドという醍醐味(だいごみ)を味わっていただきたい。新型コロナウイルス禍で、ゲームの本質的な価値が再評価されたと感じている。ゲームのコミュニケーションツールとしての要素が注目され、その要素を持ったタイトルが注目を浴びた。ゲーム市場は日本で約2兆円、ワールドワイドで約20兆円と堅調に推移しており、ゲームの社会的意義を実感している」と、ハイブリッド開催に期待を寄せた。
日経BPの吉田直人社長は「この2年間で我々の生活スタイルは大きく変化した。その中で、リアル開催の価値が再認識されている。直接顔を合わせて会話することがコミュニケーションにとってどれだけ大切か、改めて感じている。世界中のゲーム業界関係者が対面で集まる機会を用意できたことが大変うれしい」とリアル開催の意義を語った。
TGS2022は37の国と地域から605の企業・団体が参加し、小間数にして1881小間の規模での開催になる。全出展者の約半数にあたる293が海外からの出展で、22年9月18日までの4日間で15万人の入場者を見込んでいる。
吉田氏は「ゲームは楽しいのはもちろん、社会的に意味のあるものという認識が深まっている。例えばオンライゲームを通じて海外とコミュニケーションすることで外国語が身についたという事例がたくさんある。それだけでなく、ゲームを通じてプログラミングに興味を持つことが、世界中で必要とされているIT人材の発掘と育成に結びついている。東京ゲームショウの来場者の中から、将来を背負っていくような人材がどんどん出てくるのではないか」と、ゲームの社会的意義に期待を寄せた。
電通の福本勝彦氏は「新型コロナウイルス禍で活動が制限されるなか、東京ゲームショウがもつ本来の価値をどのような形で提供できるのか、この2年間のオンライン開催の中で熟慮を重ねてきた。顧客体験をどう構築していくか試行錯誤し、バーチャル空間を活用したイベント開催ニーズの高まりを受けて、21年からVR会場を企運営している。イベントが本来もつ、わくわく感やセレンティビティーといった価値と、オンラインの効率性といった双方のメリットを生かしつつ、大型イベントにおける魅力的なメタバース体験ができる場を提供できると思っている」と、バーチャル会場をアピールした。
ゲーム技術が日本のコンテンツ産業全体をけん引していくことを期待
TGS2022は世界中からゲーム業界関係者が集まる世界最大級のゲームイベントであり、メタバースやVRなど先端技術を利用したゲームや周辺機器などが展示されている。
経済産業省大臣官房審議官IT戦略担当の藤田清太郎氏は「ゲーム業界は、先端技術を取り入れてユーザー体験に還元するのが非常に上手だ。これは急速に進展しているデジタルトランスフォーメーションと、それを扱う人材に求められる技術に相通じるものがある。こうしたゲームクリエイターが持つ技術に着目し、ゲーミフィケーションという手法でデジタルトランスフォーメーション施策を担う人材の育成に寄与すべく、検討会を開始した。ゲーム制作に必要な技術は、Web3.0やメタバースなどの領域で質の高いユーザー体験を提供するものであり、ゲーム以外のコンテンツ産業にも応用できる大変重要な技術。ここの集まった皆さんが中心となって、日本のコンテンツ産業全体をけん引していくことを期待している」と、ゲーム業界が持つ技術に期待を寄せた。
また、「今後最大の消費者グループとなるZ世代は、他の世代に比べてゲームアプリの消費時間が大変長く、プロeスポーツのファン層の多くを占める。Z世代との親和性が高いゲーム空間やeスポーツ大会は、大変重要なマーケティングツールになりうる。経済産業省としても、さまざまな事業者がeスポーツ分野に参画し、経済の好循環からさらなる発展につながるよう、業界の皆さんと取り組んでいきたい」とeスポーツの経済効果にも期待を寄せた。
JAPAN国際コンテンツフェスティバル(コ・フェスタ)は、日本のゲーム、アニメ、マンガ、キャラクター、放送、音楽、映画といったコンテンツ業界と、関連するファッション、デザインなどを横串で結びつけ、海外への発信を支援するプロジェクトだ。TGS2022は、そのコアイベントと位置づけられている。
JAPAN国際コンテンツフェスティバル実行委員会委員長の迫本淳一氏は「コンテンツや文化が盛り上がることは、その業界だけでなく、広く国民の方々にも大きな利益となる。例えば、米国の映画を世界中の人が見ることで、米国民はどれだけの利益を得ていることか。そうしたように、ゲームや映画といった業界が協力して取り組み、まとまって海外に発信していくことはとても意義がある。それで業界が盛り上がり、国民の方々に役立つ形になると信じている」と、コンテンツ業界が一団となって海外に発信していくことの重要性を訴えた。
(文/湯浅英夫、写真/木村輝)
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