スウェーデンの開発スタジオFRAME BREAKは1ホールのインディーゲームコーナーにXbox Series X|S/PC(Steam)用の農業系アドベンチャーゲーム『ライトイヤーフロンティア』を出展。ヨアキム・ヘッドストロームCEOは日本のユーザーの期待に応えるべく東京ゲームショウ2022出展を決断したと語った。

 宇宙船のトラブルで訪れることになった未知の惑星を舞台に、作業用ロボットに乗り込んで農場を開拓し、作物を栽培したり、資源を集めたり、はたまた多種多彩な野生動物を飼いならして農場を作ったり。オープンワールドとして構築された広大なフィールドを探索しながら、ほのぼのと農作業を楽しむアドベンチャーゲームが『ライトイヤーフロンティア』だ。

 2023年春にXbox Series X|S/PC(Steam)用として発売が予定されているこの作品は、スウェーデンのAmplifier Game Invest傘下の開発スタジオ、FRAME BREAKが開発。その背景などを、FRAME BREAKのCEO(最高経営責任者)、Joakim Hedström(ヨアキム・ヘッドストローム)氏に聞いた。

発表時に日本人の反応が良かった

――まずはスウェーデンのゲーム事情について教えてください。

ヨアキム・ヘッドストローム氏(以下、ヘッドストローム) スウェーデンはPCゲーマーが世界でももっとも多い国の1つです。もちろんコンソールゲーム(家庭用ゲーム)の人気も高いです。

 ゲーム開発者やスタートアップカンパニーもこの10年間ですごく増え、スウェーデン国内のマーケットだけでなく、世界的にもスウェーデンの開発メーカーや開発スタッフが活躍しています。

――『ライトイヤーフロンティア』を日本語対応タイトルとしてリリースしたり、東京ゲームショウの会場で先行試遊を用意したのはどういったきっかけからでしょうか?

ヘッドストローム FPS(First-person shooter、一人称視点のシューティングゲーム)のようなスタイルを持ちながらもゆったりと平和な時間が過ごせる、そんなゲームを目指して開発したのが、『ライトイヤーフロンティア』です。

 本作の制作をSteam上で発表したときに、実は日本のユーザーからのウィッシュリストへの反応がとてもよく、それがきっかけで日本の市場を意識するようになりました。

 ファンの皆さまと直接お会いしてその期待に応えられるよう、まずは日本最大級のインディーゲームイベント「BitSummit」、次に今回の東京ゲームショウ2022(TGS2022)と、2つのイベントへの出展を決めました。

ゲーム画面を背景にあしらったFRAME BREAKのブース。インディーゲームコーナーのなかでも華やかな色使いが非常に目立っていた
ゲーム画面を背景にあしらったFRAME BREAKのブース。インディーゲームコーナーのなかでも華やかな色使いが非常に目立っていた
FRAME BREAKのCEO、ヨアキム・ヘッドストローム氏。2020年にスウェーデンのシェブデ大学の卒業生数名と共に、FRAME BREAKを創設。スタートアップ企業数社を経て、現在はFRAME BREAK CEOを務めている
FRAME BREAKのCEO、ヨアキム・ヘッドストローム氏。2020年にスウェーデンのシェブデ大学の卒業生数名と共に、FRAME BREAKを創設。スタートアップ企業数社を経て、現在はFRAME BREAK CEOを務めている

自由度を確保するため高性能な環境を選択

――題材としてはモバイルに向いているようにも思います。Xbox Series X|S、Steamと、ハイスペックな環境でリリースしたのはどういった理由からでしょうか?

ヘッドストローム 『ライトイヤーフロンティア』をハイスペックな環境に向けてリリースした一番の理由はゲーム内の自由度を上げることが簡単だからです。

 本作はオープンワールドとして構築された広大な惑星を開拓していくことになりますが、その中でプレーヤーができることの幅を広げるためには、Xbox Series X|SシリーズやSteamが向いていると考えたのです。

 もう1つ、スウェーデンのゲーム事情も影響しています。先ほどもお伝えしたように、スウェーデンではゲーム環境としてPCがもっとも好まれているので、僕たちにとってPCでゲームをリリースするのはとても自然なことでした。

 確かに『ライトイヤーフロンティア』はモバイルゲームのユーザーに好まれる要素を多く持っていると思っています。そうしたユーザーがこのゲームをきっかけにPCやコンソールへ興味を持ってくれたらうれしいですね。

 また、今後の展開次第では、ほかのコンソール機やもしかするとモバイルへの移植が実現するかもしれません。

TGS出展のため、全社を挙げて来日

――今回のTGS2022ではインディーゲームコーナーにたくさんのタイトルが出展されています。ご覧になった中で、ご自身のゲームづくりにおいて参考になりそうなものなどはありましたか?

ヘッドストローム 日本だけでなく、ドイツのイベントにも出展したことがあります。個人的にお気に入りとなったタイトルはもちろんありますが、みなさんとても素敵な作品を作られていると感じますし、どの作品もアイデアに満ちていて、いろいろ刺激を受けています。

作業用メカに乗り込んで農作業に勤しむ筆者。画面の設計や操作性などはFPS的な感覚に近いのだが、そのテンポと内容は非常にのんびりほんわかしている
作業用メカに乗り込んで農作業に勤しむ筆者。画面の設計や操作性などはFPS的な感覚に近いのだが、そのテンポと内容は非常にのんびりほんわかしている
素材を集めて自分の家を建築、あるいは増築したりができるほか、自分が乗り込むメカをアップグレードすることも可能
素材を集めて自分の家を建築、あるいは増築したりができるほか、自分が乗り込むメカをアップグレードすることも可能

――次回作の構想などはありますか?

ヘッドストローム 当分は全力で『ライトイヤーフロンティア』のアップデートをしていきたいです。もしかしたらその過程でほかの機種へと対応を広げることもあるかもしれません。

――次に移植されるとしたら、Nintendo Switchですか? PlayStation4や5ですか?

ヘッドストローム ノーコメントとさせてください(笑)。

――『ライトイヤーフロンティア』は何人くらいで開発されているんですか?

ヘッドストローム 13人です。東京ゲームショウに出展するため、全員で日本へとやってきました。

――最後に日本のユーザーに何かメッセージをいただけますか?

ヘッドストローム 『ライトイヤーフロンティア』に多大なる期待をお寄せいただき、どうもありがとうございます。TGS2022への出展は、皆さまからの期待にお応えしたいという思いがきっかけです。今後ともこのゲームへの率直なご意見をいただけたらと思っています。僕たちもこのゲームのアップデートを全力で行っていきます。

舞台となる惑星は時間の経過に従って昼夜、それに天候や四季も変化する。独自の生態系もあり、野生動物を飼い慣らしたりもできる。一方で、環境災害に備えたり、環境に悪影響を与えるような行動を控えることも大事
舞台となる惑星は時間の経過に従って昼夜、それに天候や四季も変化する。独自の生態系もあり、野生動物を飼い慣らしたりもできる。一方で、環境災害に備えたり、環境に悪影響を与えるような行動を控えることも大事
1人で遊ぶだけでなく、オンラインでは最大4人までの協力プレイも可能。一緒に農場を作ったり友達の惑星を訪れたりといった遊び方できるようになるとのこと
1人で遊ぶだけでなく、オンラインでは最大4人までの協力プレイも可能。一緒に農場を作ったり友達の惑星を訪れたりといった遊び方できるようになるとのこと

(文/稲垣 宗彦=スタジオベントスタッフ、写真/中村 宏)

▼関連リンク 日経クロストレンド「東京ゲームショウ2022特設サイト」 東京ゲームショウ2022公式サイト(クリックで公式サイトを表示します)
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