YouTube広告として運用している企業は多いだろう。しかし、うまくビジネスに活用できているところは多くはない。そんな課題を解決するツールを、動画配信支援のエビリーが思わず引き込まれるようなプレゼンで宣伝していた。

 東京ゲームショウのビジネスソリューションコーナーでひときわ人が群がっているブースがあった。エビリーだ。「10分で解説 YouTubeでビジネスを最大加速させる方法」と銘打ち、司会者のような人がテレビショッピング並みのテンションでプレゼンしていたのだ。どうやら、元芸人のサンデー岡本氏という人物らしい。ついつい食い入るように聞いてしまう。

効果は高いが、課題も多いYouTube広告運用

 そもそもなぜ、YouTubeがビジネスによく活用されているのか。YouTubeは若者からお年寄りまで、全世代が利用しているプラットフォームだ。だからこそリーチが強く、YouTubeを活用して商品やサービスの向上につなげようとしている企業は多い。それに加え、昨今では、熱量の高いファン層にターゲットを絞って情報を発信する「ファンベースマーケティング」が注目を集めている。ファンとの距離を縮めて信頼関係を築くことでファンが新たな顧客を産み、結果的にサービスの購入につながることができるのだ。このきっかけづくりとしてYouTubeを活用する企業が増えている。

最近、ファンベースマーケティングを取り入れている企業は多い
最近、ファンベースマーケティングを取り入れている企業は多い
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 そこで、多くの企業はチャンネル運用をしたり、YouTuberのキャスティングやYouTube広告を活用した商品PRを行ったりしてビジネスに活用している。しかし、ビジネスに導入しようとしても、なかなかうまくいかないのが実情だ。実は、年々企業チャンネルが増え続けているものの、63.3%が登録者数1000人以下と、苦戦を強いられているのだという。特に課題となっているのが、以下の3点だ。

①チャンネル登録者数がなかなか伸びない
②最適なキャスティングができず効果が不明確
③苦労して広告を作ってもスキップしてみてもらえない

YouTubeのビジネス利用で陥りがちな3つの課題
YouTubeのビジネス利用で陥りがちな3つの課題
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簡略化して分析しやすくする

 その課題を解決するのが、エビリーの「kamui tracker」というYouTubeのデータ分析ツールなのだという。国内最大級で、国内クリエイター数13万以上、国内市場データ数3900万以上のデータ市場が確認できるという。その効果を、実際にエビリーが解決してきた有名企業の成功事例とともに紹介してくれた。とあるYouTubeチャンネルでは、エビリー専門家チームが企画編集撮影分析すべてを一任したことで、1年でチャンネル登録者数が10万人を超えたそうだ。

引き込むようなプレゼンをするサンデー岡本氏。「ここからがなかなか見られないデータを交えてですので、もう1歩ずつ前へご協力をお願いいたします!」と言って、観覧者を前へ前へと言葉でも物理的にものめり込ませていく巧みな話術が素晴らしい
引き込むようなプレゼンをするサンデー岡本氏。「ここからがなかなか見られないデータを交えてですので、もう1歩ずつ前へご協力をお願いいたします!」と言って、観覧者を前へ前へと言葉でも物理的にものめり込ませていく巧みな話術が素晴らしい
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 また、商品PRのYouTuberタイアップの場合、ニーズのヒアリングから振り返りまでの工数が多く、何から手を付けたらいいのかわからないというのが悩みの種となっているケースが多いそうだ。しかしエビリーでは、過去のタイアップデータをもとに類似事例の成功例を抽出し、案件に最適なYouTuberを選定することができるらしく、工数が10分の1になった企業もあるというのだ。

 さらに、従来の広告ではやらせ感が出てしまい、視聴者が冷めてしまう事例もよく見かける。しかし、kamui trackerと使うと、タイアップ施策と広告運用を組み合わせて、より多人数へのリーチを実現できるのだという。成功企業では、店頭回転率が1.3倍、ターゲット認知率は1.7倍になったそうだ。

 他にも、kamui trackerでは簡単にタイアップするYouTuberの検索もできるのだという。YouTube広告を出そうと思ってもYouTuberのリストアップだけでも至難の業だ。しかし、例えばカテゴリーをビューティーにして検索をすると、美容系YouTuberのリストアップを一瞬でできるようになり、性別や出身地、タイアップ実績なども細かく盛り込んで絞り込み検索もできるという。これは、YouTubeのアナリティクスの管理画面を使いこなすのが難しいという人にとっては、簡略化して感覚的に利用できるのでかなりありがたいはずだ。

kamui trackerの特徴
kamui trackerの特徴
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検索条件を入れるだけで、簡単に目的のカテゴリーのYouTuberをリストアップできるのだという
検索条件を入れるだけで、簡単に目的のカテゴリーのYouTuberをリストアップできるのだという(画像提供/エビリー)
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 同サービスはさまざまな企業が導入しており、成功実績がある企業として、セガが紹介されていた。同社はkamui trackerを導入してYouTubeチャンネル施策の企画から効果検証までのデータを活用し、Z世代の接点づくりとコミュニティーづくりに成功しているという。

 同サービスの基本料金は月額10万円からで、ツールの使い方からそれを使って企業の目標を実現するまで、エビリーがサポートしてくれる。特にソフトは必要なく、ブラウザーで動くため、IDとパスワードを用意すればOKとのこと。

成功事例の企業としてセガが紹介されていた
成功事例の企業としてセガが紹介されていた
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実は17年から出展していたエビリー

 「実は17年から東京ゲームショウに出展していました」と言うのは、エビリーkamui tracker事業部マーケティング部部長の和田洋祐氏。もともと、マーケティング関連のイベントには毎回出展していたが、YouTubeを使っている企業はゲーム業界が多かったことから、ゲームショウにも毎年出展していたのだという。「これまでターゲットはゲーム関連企業だったが、時代の流れもあり、徐々にゲーム以外の企業もYouTuberとタイアップしたいというところが出てきた。そんな企業とマッチングできれば」という思いで今年も出展を決めたそうだ。

 元芸人のサンデー岡本氏は去年から各イベントで出演してもらっていたが、ゲームショウでプレゼンをしてもらうのは今回が初めてとのこと。「サンデー岡本さんに出演してもらうと、名刺の獲得率が倍以上になる」(和田氏)。その分、今回も手応えを感じているという。

 YouTubeの活用に課題感を抱いている企業は少なくないだろう。自社での運用に頭を抱えている企業は、一度こういったツールやサービスを利用してみるのも手かもしれない。

 

(文/吉成 早紀、写真/酒井 康治、画像提供/エビリー)

▼関連リンク 日経クロストレンド「東京ゲームショウ2022特設サイト」 東京ゲームショウ2022公式サイト(クリックで公式サイトを表示します)