2022年9月2日発売の「日経トレンディ2022年10月号」 ▼Amazonで購入する では、「ずるい文章術」を特集。キリンホールディングス傘下のキリンビバレッジは、マーケティング部が作る「TMP資料」を活用し、ブランド戦略を他部門に浸透させる。資料のフォーマットは、ある程度の共通化が図られ、社員はスムーズに情報を読み取れる。今回は、「午後の紅茶 for HAPPINESS 熊本県産いちごティー」の例を紹介する。

※日経トレンディ2022年10月号より。詳しくは本誌参照

「午後の紅茶」シリーズのTMP資料の構成例
「午後の紅茶」シリーズのTMP資料の構成例
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 マーケティング部が立案したブランド戦略を、営業や技術開発、広報など社内の他部門にどう浸透させるか。その情報共有にパワーポイント資料を活用しているのがキリンホールディングス傘下のキリンビバレッジだ。

 同社には「キリン 午後の紅茶」(以下、午後の紅茶)「トロピカーナ」「キリン iMUSE」など約10種類の飲料ブランドがある。さらに、午後の紅茶ブランドだけで20種類近くの派生商品がある。この商品ごとに、ブランドの価値観を守りつつ、販売、宣伝などを実施するためにあるのが、マーケティング部が作る「TMP資料」だ。

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 TMPは「Total Marketing Plan」の略。最大の特徴は、社内でのブランド説明に使われるだけでなく、営業、広報などの他部門の担当者が一部を用途に合わせて使いまわすことも想定されている点だ。そのため、スライド内の文章で使う表現もある程度ブランド内で統一されている。例えば午後の紅茶シリーズであれば、味の良さを表すときに「うまい」ではなく「おいしい」と表記する。こうした用語は、午後の紅茶シリーズ全体のパーパス(存在意義)として設定された「いつでもお客様に幸せなときめきを届ける」に合わせて決められている。これにより、資料が引用されたときにも、自然とブランドのイメージを一定に保つことができる。

 TMP資料のスライド1枚当たりの情報量自体は多いが、社員はスムーズに情報を読み取れる。というのは、社内で2020年ごろにTMP資料のフォーマットを刷新し、ある程度の共通化を図っているからだ。製品が違っても、資料全体の構成や、随所で登場する「まとめスライド」の要素配置が似ているので、見慣れれば「何がどこに書いてあるのか」がすぐに分かる。例えば、前年の振り返りは「市場」「顧客」「ブランド」の3項目で、マーケティングプランの全体像を示すスライドは「商品」「広告」「販促」「店頭」の4項目で示すのが基本だ。フォーマットは今後も改定していくという。