
マーケティングの強化、商品力の底上げなど、リアル店舗に客を集めるためのさまざまな策を講じるファミリーマート。さらに成長を遂げるには、店の数そのものを今まで以上に増やすことも求められる。従来は出店できなかった場に店を出すための強力な切り札の1つが、無人決済システムだ。
「2022年度初めから24年度末までの3年間に、無人決済システムやセルフレジなどを活用した小型店舗を1000店出店するのが目標」
ファミリーマート(以下、ファミマ)の店舗に無人決済システムの導入を推し進める、執行役員開発推進室長兼ライン・法人室長の狩野智宏氏はこう語る。
全体の30~40%を占めるレジ回りの業務を削減
人口減少による働き手不足や出店競争の激化による好立地の減少などで、常時2~3人程度を配置する従来通りの“標準店”をハイペースで出店していくことは、ファミマにとって簡単ではない。そこで同社が考えたのが、テックベンチャーのTOUCH TO GO(東京・港)が開発した無人決済システムや、買い物客が自分で決済して購買を完了させるセルフレジ、同じくテックベンチャーのTelexistence(テレイグジスタンス、東京・中央)が開発した飲料補充AI(人工知能)ロボット「TX SCARA」などを導入して、店舗運営の省力化と運営コストの低減を図ることだ。
ファミマの直営店の場合、レジ回りの業務量は、店舗運営全体に必要な業務量の30~40%を占める。無人決済システムやセルフレジを導入して既存のレジを置かずに済めば、レジ回りの業務をほぼゼロにできる。また、売り場の棚に飲料を補充する業務は店員の作業負荷が大きい。この業務をロボットの活用で自動化できれば、店舗の労働環境や売り場の質のさらなる向上、店舗の採算性の改善が期待できる。
これらの導入で「売り上げが従来の2分の1でも成り立つような、省力化した低コストの小型店舗」(狩野氏)を開発し、従来は出店できなかったような場所に出店して、「これまで以上にファミマの売り場全体を広げていく」(同)ことを狙うわけだ。
将来は、商品の陳列、宅配便の受け付け、公共料金などのレジでの収納代行、ファストフードの調理といった、現在、人手に頼らざるを得ない業務のうち、可能なものを自動化して、省力化とコスト低減をさらに推し進める考えだ。
無人決済システム導入の小型店を6店出店
TOUCH TO GOの無人決済システムを導入した小型店は、既に6店出店済みだ。どの店も原則、買い物客は入り口から店に入って、欲しい商品を手に取り、出口手前の決済エリアで決済して、そのまま出口から出るウオークスルー型の店舗だ。
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