
人気カバーソングユニット「ぷらそにか」の独自コンテンツを配信するなど、店舗集客を強化するのがファミリーマートだ。一部店舗に設置されたデジタルサイネージ「FamilyMartVision(ファミリーマートビジョン)」を軸に、“店舗のメディア化”を推し進めようとしている。来店者数が増加し、加盟店も広告主も喜ぶ。まさに「三方良し」のビジネスモデルを構築する。
YouTubeの総再生数が1億回を超える、カバーソングユニット「ぷらそにか」。YOASOBIのボーカルikuraなどのアーティストを輩出したことでも知られ、Z世代に絶大なる人気を誇る。
そんなぷらそにかが書き下ろした楽曲が放送される番組「ぷらっとみゅーじっく♪」を視聴しようと、若者たちが足しげく通う場所がある。それはパソコンの前でもライブ会場でもない。ファミリーマート(以下、ファミマ)の一部店舗に設置されたデジタルサイネージ「FamilyMartVision(ファミリーマートビジョン)」の前だ。
2022年5月に第1弾の番組が放送されると、ネット上ではファミリーマートビジョンを設置する店舗の情報や動画についてのコメントがあふれ、ファン同士の情報共有が進んだ。「広い世代には受け入れられず、視聴者が絞られるかもしれないが、見た人に強く刺さるコンテンツを試したところ、これがすごく当たった」と、デジタルサイネージの設置とコンテンツの配信を手がけるゲート・ワン(東京・港)の速水大剛COO(最高執行責任者)は振り返る。
ゲート・ワンはファミマとその親会社である伊藤忠商事第8カンパニーが21年9月に設立した新会社だ。サイネージに配信する企業広告については、営業から配信、効果検証まで、やはりファミマと伊藤忠などが出資して20年に設立したデータ・ワン(東京・千代田)に任せ、両社で連携してファミリーマートビジョンを運営する。
小売業界でECサイトの強化やフードデリバリーサービスへの参入が相次ぐ中、ファミマが重視したのは「店舗のメディア化」だ。消費者と直接つながる店舗を「メディア」と捉え、顧客に刺さる情報を発信して集客し、商品の売り上げ増を図る。さらに、集客力を利用した広告ビジネスを新たな収益源に成長させる狙いがある。その第一歩として、ぷらそにかのような“スモールマス”を意識したコンテンツを制作し、店舗への集客を強化し始めた。
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