いまだその全貌が見えない「Web3」。本連載では書籍『Web3新世紀 デジタル経済圏の新たなフロンティア』(2022年7月、日経BP発行)を基に、Web3を正しく理解するために必要な情報を整理。第3回は「DAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)」を解説する。

『Web3新世紀 デジタル経済圏の新たなフロンティア』日経BP発行
『Web3新世紀 デジタル経済圏の新たなフロンティア』日経BP発行

 Web3の大きな特徴にDAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)が挙げられます。同一のミッションに賛同する多様なステークホルダーが参加可能な新しい組織形態で、「スマートコントラクト」を利用しています。スマートコントラクトはブロックチェーンで規定されるコンピュータープロトコルで、自動的・自律的な運営が可能になり、理想的には中央集権型組織や株式会社という形態、管理者さえ不要になると考えられています。

 DAOの意思決定にはトークン(「ガバナンストークン」とも言う)が利用され、DAOが成長すればそのトークンの価値が上がります。トークンは暗号資産でもあるので、暗号資産を用いた独自のエコシステムが形成されることになり、その代表がビットコインやイーサリアムとされています。既存の株式会社とは異なる新たな仕組みといえます。

 DAOによって組織の意思決定やプロセスが透明化され、組織のガバナンスが変わる可能性があります。これまでの中央集権的な株主中心の資本主義とは異なり、著作者や個人のつながり、コミュニティーに焦点を当てた新しい成長と分配の在り方を具体化する基盤となり、日本の社会課題解決や地方活性化にもつながる可能性があります。

 日本語で「分散型自律組織」と訳されることが多いDAOは、もともとはイーサリアムコミュニティーで提示されたものですが、その際の定義とは大きく離れた使われ方も多くなりました。本稿では運用されている実態に合わせて、「プロダクト指向型DAO」と「目的指向型DAO」の2つに分けて解説します。

プロダクト指向型DAO

 プロダクト指向型DAOは、どこかの企業が中心となって開発するのではなく、有志が集まって開発して普及させ、そのリターンとしてトークンの値上がり益を享受するタイプです。プロダクト指向型DAOにとって大事なのは、中央にプログラムの集合体であるプロダクトという仕組みがあり、その周囲に人間がいることです。Web2.0の株式会社では、最初に組織があって、その下にプロダクトがありました。中心に「仕組み」があることは、Web3とWeb2.0の最大の違いの一つです。

 プロダクト指向型DAOの究極例は、ビットコインコミュニティーです。ビットコインというプロダクトに共感した開発者たちが絶えずアップデートし続け、ビットコインの未来を信じた投資家たちがマイニングや関連ビジネスを実施し、ビットコインを使いたいと思うユーザーが世界中で使っています。最初は少数の個人の集まりでしたが、徐々に企業が加わり、ついには国単位のビットコインユーザーも現れました。

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