※日経エンタテインメント! 2022年8月号の記事を再構成

特定の人気監督から愛され、飛躍していった俳優は多い。この記事では、そんな“登竜門”的な監督と、縁の深い俳優たちを紹介する。さらにヒットメーカーからの起用が相次いでいる若手俳優のなかから、「ネクストブレイク」を探る。

“輩出量”が圧倒的な福田雄一

 映画・ドラマ業界には、若手俳優の魅力を引き出し、その人気を押し上げる“登竜門”的な作り手が存在する。主な監督と20代俳優をまとめたのが、下の表だ(年齢は2022年7月4日時点)。

[画像のクリックで拡大表示]

 圧倒的な“輩出量”を誇るのが、ムロツヨシや賀来賢人を主役級に引き上げた福田雄一監督。20代の俳優では吉沢亮(28)に早くから注目し、2014年の深夜ドラマ『新解釈・日本史』に起用。以降、映画『銀魂』シリーズや『斉木楠雄のΨ難』などに起用し、コミカルな魅力を引き出した。また、仲野太賀(29)、戸塚純貴(29)、磯村勇斗(29)らも福田作品を足掛かりにブレイクした。

 20代俳優が起用されることが多い恋愛映画でヒットを飛ばしてきたのが、三木孝浩監督と月川翔監督だ。三木監督は、16年の『青空エール』で竹内涼真(29)、20年の『きみの瞳が問いかけている』で横浜流星(25)を起用。2人とは8月26日公開の『アキラとあきら』で再びタッグを組む。また、20年の『思い、思われ、ふり、ふられ』では、浜辺美波、北村匠海(24)、福本莉子と並ぶ4人主役の1人に赤楚衛二(28)を抜てきしてブレイクの礎を築いた。月川監督は、16年に中島健人(28)の『黒崎くんの言いなりになんてならない』を手掛け、17年の『君の膵臓をたべたい』で北村匠海をブレイクさせた。北村とは19年の『君は月夜に光り輝く』でもタッグ。今後もコラボがありそうだ。

 多彩な学園モノから多くの俳優を輩出したのが、英勉監督だ。14年の恋愛コメディ『ヒロイン失格』では山崎賢人(27)と坂口健太郎の人気を押し上げ、鳥人間コンテストを描いた『トリガール!』(17年)では間宮祥太朗(29)と高杉真宙(26)にTAMA映画賞最優秀新進男優賞をもたらした。また、『3D彼女 リアルガール』(18年)では佐野勇斗(24)のコミカルな演技を、『映画 賭ケグルイ』(19年)では宮沢氷魚(28)のカリスマ性を引き出し、昨年の『東京リベンジャーズ』では北村匠海、吉沢亮、杉野遥亮(26)らを集めて興収45億円の大ヒットに導いた。

 大人の恋愛映画で人気なのが、今泉力哉監督。19年の『愛がなんだ』で成田凌(28)の注目度を上げ、21年の『街の上で』にも起用した。今年『余命10年』を大ヒットさせた藤井道人監督は、18年の『青の帰り道』から横浜流星とタッグを続け、来年公開の『ヴィレッジ』に主演で迎える。13年の『男子高校生の日常』で菅田将暉(29)や野村周平(28)、20年の『#ハンド全力』で加藤清史郎(20)や醍醐虎汰朗(21)[※記事「醍醐虎汰朗 2.5次元舞台で注目された逸材が実写映画初主演」参照]を愛おしく見せた松居大悟監督も登竜門的存在だ。

 ドラマの世界で注目されるのは、TBSスパークル所属の塚原あゆ子監督。『リバース』『アンナチュラル』などを当て、18年に放ったのが『中学聖日記』だ。有村架純の相手役に岡田健史(23)を抜てきし、デビュー作でいきなりブレイクさせた。また、20年の『MIU404』では、渡邊圭祐(28)や鈴鹿央士(22)をキーパーソンに起用。21年には『夢中さ、きみに。』『着飾る恋には理由があって』『最愛』で高橋文哉(21)をキャスティングし、注目度を上昇させた。

男性を輝かせる女性監督

 近年、男性俳優を輝かせる存在として活躍が目立つのが、塚原監督のような女性監督だ。映画界で注目なのは、山戸結希監督。髪の毛1本にもこだわる演出で俳優を光らせ、16年の『溺れるナイフ』で菅田将暉、19年の『ホットギミック ガールミーツボーイ』で清水尋也(23)、間宮祥太朗、板垣瑞生(21)の新生面を引き出した。

 また、ドラマを数多く手掛けている若手が、松本花奈監督と酒井麻衣監督だ。2人とも18年のドラマ『恋のツキ』に参加して、ブレイク前の神尾楓珠(23)を演出。松本監督は昨年、鈴鹿央士主演映画&ドラマ『ホリミヤ』、北村匠海主演映画『明け方の若者たち』を手掛けた。酒井監督は、昨年のドラマ『美しい彼』で萩原利久(23)、八木勇征(25/FANTASTICS)[※記事「八木勇征 俳優として経験を重ね、ボーカリストとしても成長」参照]を輝かせ、第59回ギャラクシー賞「マイベストTV賞」グランプリを受賞。また、なにわ男子『初心LOVE』(うぶらぶ)のMVも監督した。今年は『明日、私は誰かのカノジョ』で井上想良(23)、ゆうたろう(24)らを演出した。

ネクストブレイクは誰?

 これらの監督から起用が重なる俳優は、飛躍する可能性が高い。そんなネクストブレイク候補を、下の表を参考に探ってみたい。

[画像のクリックで拡大表示]

 まずは、松居監督の『#ハンド全力』や塚原監督の『夢中さ、きみに。』に出演した坂東龍汰(25)に注目。今年は1月に主演映画『フタリノセカイ』が公開され、4月期の『未来への10カウント』に出演。さらに7月からは永野芽郁主演のTBSドラマ『ユニコーンに乗って』にレギュラー出演する。

 19年に松本監督の『平成物語~なんでもないけれど、かけがえのない瞬間~』で好演を見せ、19年に『デイアンドナイト』、20年に『宇宙でいちばんあかるい屋根』と藤井監督映画への起用が相次ぐ笠松将(29)にも注目だ。今年は2月に主演映画『リング・ワンダリング』が公開され、WOWOWの『TOKYO VICE』、フジ系の『エロい彼氏が私を魅わす』などメインでのドラマ出演が続く。

 松居監督の『アイスと雨音』(18年)や、塚原監督の『夢中さ、きみに。』に出演した青木柚(21)[※記事「青木柚 朝ドラのヒロインの弟役で注目。若者の“もろさ”の演技に定評」参照]は、今年、朝ドラ『カムカムエヴリバディ』にヒロイン(川栄李奈)の弟役で登場。8月からのWOWOWオムニバス『ワンナイト・モーニング』の最終話に主演する。

 『ホリミヤ』『明け方の若者たち』と松本監督作品に立て続けに出演したホリプロスカウトキャラバン出身の井上祐貴(26)も躍進著しい。今年4月からNHK「夜ドラ」の『卒業タイムリミット』に主演し、7月10日からはテレビ大阪とBSテレ東の『イケメン共よ メシを喰え』にレギュラー出演する。そのほか、『夢中さ、きみに。』『明け方の若者たち』『明日、私は誰かのカノジョ』に出演した楽駆(25)や、『美しい彼』『明日、私は~』などに出演が続く、ジュノンボーイ出身の坪根悠仁(22)にも注目だ。

 最後に、人気監督の新作に主演やメインに抜てきされた俳優を紹介する。7月29日公開の三木監督作『今夜、世界からこの恋が消えても』の主演に選ばれたのは、7月25日に20歳になった道枝駿佑(なにわ男子)。『消えた初恋』『金田一少年の事件簿』と連ドラ主演も続いており、勢いに乗る。道枝と『消えた初恋』にW主演した目黒蓮(25/Snow Man)は、今年、英監督の映画『おそ松さん』にSnow Manの1人として主演。来春公開予定の塚原監督による映画『わたしの幸せな結婚』で単独映画初主演を飾る。

 松居監督が9月16日公開の『手』のヒロインの相手役に選んだのは、金子大地(25)。6月に大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に源頼家役で登場した金子は、7月期の波瑠主演カンテレ・フジ系ドラマ『魔法のリノベ』にもレギュラー出演。本格ブレイクに期待がかかる。