
セガ(東京・品川)の人気ゲーム『ぷよぷよ』シリーズは、どんな人でも楽しめるゲーム作りに力を入れている。最新作の『ぷよぷよeスポーツ』では、「色ちょうせい」と「スピード調整機能」の2つのアップデートを実施。色やゲームスピードを工夫し、色覚多様性やシニアなどに配慮して、より多くの人々が快適に遊べるようにした。
『ぷよぷよ』シリーズは、「ぷよ」と呼ばれるキャラクターを題材にした落ち物パズルゲーム。1991年にゲーム制作会社のコンパイルが開発し、その後さまざまなゲーム機で販売。98年にセガが権利を取得し、開発・販売している。2021年にシリーズ発売30周年を迎えた。
ゲームのルールは「同じ色のぷよを集めて消していく」というシンプルなもの。積み方を工夫して「連鎖」を繰り返していくことで、より高度な戦いを楽しめる。22年現在、アプリやゲームソフトの販売本数、DL数、アーケードなどのプレーID数は、シリーズ全体の合計で3770万本/ID/ユーザーを達成した(注)。
ユーザー同士の大会なども頻繁に開催されており、eスポーツとしても人気だ。22年にセガが承認したぷよぷよ関連のeスポーツの大会は約280件だった(22年1~7月の累計数、新型コロナ禍の影響で実施できなかった大会も含む)。
ぷよぷよeスポーツの大会は全国各地で行われており、子供とシニア、障がいのある人同士が競い合うなど、多種多様な人たちが盛り上がる様子を見ることができる。実は「すべての人が楽しめるゲーム体験」をつくるのは、簡単なようで難しい。子供とシニアでは反応速度や動体視力にも差があるし、障がいのある人は特性によってプレーできないゲームもあるからだ。
ぷよぷよも、特定の人たちからは「自分にはプレーできない」と思われていたタイトルだった。一例が、一部の色、またはすべての色が識別できないという特性を持つ「色覚多様性」の人たちだ。赤と緑、橙(だいだい)と黄緑、茶と緑などが非常に近い色に見える特性のため、色で判断するゲームが難しかったのだ。
もう1つがシニア層だ。31年の歴史を持つぷよぷよは、ほかのゲームに比べてシニア層のファンが多い。昔プレーしていたファンが年を取っても楽しんでいたり、親子で遊んだりしていた。自分はプレーしないが、孫の大会を応援しにきてくれる人も多く、そうした人の中に「孫と一緒に遊びたいが、ゲームが速すぎてついていけない」という声があった。
ぷよぷよを、どんな人でも遊べるゲームにしたい──そんな思いで実施したのが、最新作の『ぷよぷよeスポーツ』で20年に行った「色ちょうせい」と「スピード調整機能」のアップデートだ。
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