
「みんなの文字」は「小さな文字でも読みやすい」「劣化した状況でも見やすい」といった特長を持つユニバーサルデザインフォントだ。開発に当たっては、老眼、視力低下、白内障など人により見え方が異なる高齢者へのユーザーテストを重視した。
世の中には情報を伝えるためのたくさんの文字があふれている。しかし、それらの文字が必ずしも理想的な状況で見られるわけではない。例えば小さく印刷された注意書き、遠くから見る案内サイン、一部がかすれた伝票など、どうしても見にくくなってしまう文字がある。また、人は高齢になると老眼や白内障の症状が現れることが多くなるなど、見え方も人それぞれだ。
ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA)とイワタ(東京・千代田)、電通が共同で開発した「みんなの文字」は、読みやすさの判断をデザイナーや設計者の感覚や経験に頼るのではなく、多くの人に読みやすいことを科学的に検証して作られた書体だ。開発に当たっては、東京電機大学理工学部准教授の矢口博之氏が開発した、文字の見やすさ・読みやすさを定量的に計測する「IPO評価法」を採用し、文字がかすれるなど劣化した状態でも判別できる「文字の安定領域」を測定するIPOテストを行った。さらに老眼・白内障など多様な見え方の人々にテストを実施して「判読性」「視認性」「可読性」の検証を重ねた。
これにより、みんなの文字は「小さくても見やすい」「密集していても読みやすい」「劣化しても誤読が少ない」「低解像度に強い」「英数字の見分けがつきやすい」「老眼、白内障の人も読みやすい」といった特長を備え、視力・環境状態の劣化に対して「見やすさ」を確保できる書体となった。
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