
いまや仕事に欠かせないPC。米マイクロソフトでは障がいの有無にかかわらず、あらゆる人にとって使いやすいようインクルーシブデザインの原則を掲げ、製品やサービスの設計を行っている。2021年10月5日に一般公開されたWindows 11は、Windows史上最もインクルーシブに設計されたOSだ。
「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」。これは米マイクロソフトの企業ミッションである。同社ではこのミッションを達成するため、「排他的要素を認識する」「多様性から学ぶ」「1人のためが、多くの人の解決に」という3つのインクルーシブデザインの原則を設けている。この原則を基に、同社では製品開発や日々の活動が行われている。
明確になったアクセシビリティ機能
Windowsのアクセシビリティへの取り組みもその一つ。アクセシビリティとは、「近づきやすさ」「利用しやすさ」のことで、高齢者や障がい者などでも機器やソフトウエアが使いやすい状態にあることを意味する。同社では1994年ごろから、アクセシビリティに取り組んできたが、「Windows XPぐらいまでは、OSそのもののイノベーションのすばらしさを世間に訴えており、アクセシビリティについては特に語ってこなかった」と、日本マイクロソフトの広報担当であり、自らもアクセシビリティに関する社内V-team(バーチャルチーム)のリードを務める手塚久美子氏は語る。2014年にCEOにサティア・ナデラ氏が就いた翌15年に、冒頭で紹介したミッションを制定した。16年にはチーフ アクセシビリティ オフィサーを設置。ここから多様性を受け入れるためのアクセシビリティへのアプローチを強化してきた。
アクセシビリティというと、障がい者や高齢者向けというイメージがあるかもしれないが、それは受け入れるべき多様性の一つで、「けがをした人や病気の人など、ありとあらゆる方を含めて誰もが使いやすいようなデザイン設計をしている」と手塚氏は語る。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。