
オフィス用品を手がけるオカモトヤ(東京・港)は、フェムテック関連事業を強化。性差に関係なく使用できるトイレ「オールジェンダートイレ」の開発にも乗り出した。デザイン会社のkenma(東京・新宿)の支援を受け、トイレの設計に一工夫している。
オカモトヤは1912年に設立された老舗のオフィス専門商社。文具や事務用品などを販売するほか、オフィス設計やICTの構築・保守サービスの業務も行う。2022年8月2日、オフィスで働く女性を支援するため、「Fellne(フェルネ)」と呼ぶフェムテック関連に向けた新規事業を発表した。フェムテックとは「女性(Female)」と「技術(Technology)」をかけ合わせた造語。働く女性が今まで声を上げにくかった、生理や妊娠、出産、育児などの問題を解決しようという取り組みのことだ。多様性が注目される中で、多くの企業が関心を示している。
「女性特有の健康問題で、女性の就業率が上がっても性差による働きにくさが残っている。そこでFellneを立ち上げ、女性活躍の推進に取り組みたい企業を支援しようとした」(オカモトヤ社長の鈴木美樹子氏)
Fellneではフェムテック関連商品の仕入れ・販売、製品・サービス・空間の自社企画、さらに関連のサポートについて企業に提案していく。このうち、製品・サービス・空間の自社企画として発表したのが、性差に関係なく使用できるオールジェンダートイレだった。
横になることも可能に
オールジェンダートイレとは、男性と女性を区別せずに、誰もが利用できるトイレ。LGBTQ(性的少数者)など多様なジェンダーへの配慮にもつながるとされ、国内外の先進企業や公共施設などが相次いで導入している。だが、男性と女性が同じトイレを使うため、これまでのトイレと内部の構造が異なるケースも少なくない。例えばトイレの中に個室だけが並び、洗面台を共通にしているタイプがある。逆に洗面台をそれぞれの個室に設置している場合もある。いずれも利用者の男性と女性がなるべく視線を合わせないようにするための配慮のようだ。
「そうした工夫があってもトイレ内の導線が今までと同じならば、次にトイレを利用する人と顔を合わせた際に、気まずさを感じるのではないか」と疑問の声を投げかけるのがkenma代表のビジネスデザイナー、今井裕平氏だ。既存のオールジェンダートイレの状況を今井氏がヒアリングすると、当初は利用しても次第に足が遠のく人が多いケースがあったという。
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