
車椅子のイメージを刷新する電動車椅子を開発・販売するWHILL(ウィル、 東京・品川)。車椅子にデザインとテクノロジーを取り入れ、新たな顧客層の取り込みを狙う。目指すのは、視覚矯正器具からファッションアイテムに進化した眼鏡のような存在。これもまたインクルーシブデザインの好例だ。
「すべての人の移動を楽しくスマートにする」をミッションとし、歩行が難しい障がい者や高齢者に限らず、誰もが、乗ること自体を楽める電動車椅子を開発するWHILL。
同社の設立は2012年。14年に初号機「WHILL Model A」を発表し、以後も商品開発を重ね、現在の「Model C2」(20年発表)と「Model F」(21年発表)の2モデルに至っている。また、自動運転・衝突回避機能などを搭載した「WHILL自動運転モデル」を開発し、羽田空港第1・第2ターミナルや慶応義塾大学病院などで実用化されているほか、成田空港第2旅客ターミナルなどでも実証実験を行っている、
事業開発・戦略室デザイナーの塚本皓之氏は、「車椅子のデザインは昔から基本的にほとんど進化してこなかった」と語る。一般的な車椅子は電動タイプであっても、後輪は手でこぐためのハンドリムが付いた大きなタイヤ、前輪は360度くるくる回る小さなキャスター、背面に手押し用ハンドルが付いているものが多い。福祉用具、介護用具という意識が強いため、いったん付けた機能や部品を外すことをためらったと思われる。
対してWHILLは、いずれのモデルも前後輪のサイズが自動車のように同じで、ハンドリムも手押しハンドルもない。斜めに伸びたアームと相まって、いわゆる車椅子らしくないスタイリッシュなデザインをしている。
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