アクセンチュア・ファミリー 第6回

特集では5人のアクセンチュア出身者に焦点を当て、アクセンチュアで身に付けた仕事に対する姿勢やスキルを、どのように転職先の事業会社で生かしているのかを紹介してきた。第6回では、アクセンチュアに人材育成の秘訣(ひけつ)を直撃。アクセンチュア執行役員テクノロジーコンサルティング本部成長戦略統括の市川博久氏が、自身の経験を振り返りながら、人材育成につながる「6つのすごい仕組み」を明かした。

市川 博久氏
アクセンチュア 執行役員 テクノロジーコンサルティング本部成長戦略統括
1997年アクセンチュア入社後、大手企業の基幹系システム導入プロジェクトを中心に参画し、一貫してITアーキテクトとしてのキャリアを積む。2007年に新規事業のインフラストラクチャー・アウトソーシング部門を立ち上げ事業統括を務める。17年にサイバーセキュリティー事業の立ち上げを経て、22年にメタバース事業を始めた

 「アクセンチュアには社内向け“転職サイト”がある。2021年度も700人を超える社員がそのサイトを利用して希望の仕事に就いている」

 市川氏はこう切り出した。ここでいう「転職」とは、社内での異動を意味する。アクセンチュアには各事業部が募集するポジションを掲載し、人員を募集する「(1)キャリアズ・マーケットプレイス」と呼ばれる社内向け転職サイトがあるという。社員はそのサイトで自身のキャリア形成にあわせて仕事を検索し、自由に応募できる。該当社員が所属する部門長は、社員のキャリア形成上、引き留めることなく異動をサポートする役割を求められるという。

 「社員は自分の意思で仕事を選択できる。ただし、選択するということは、同時に異動先で高い成果を出すことの約束を意味する」と市川氏は言う。責任は伴うが、自由にキャリア形成をできる環境があるため、自立心が養われるのが特徴だという。この制度を利用して、異動する人が国内だけでも700人超いる。

 かくいう市川氏も「ころころ仕事を変えてきた」と言う。入社直後はネットワーク環境の整備など、プロジェクトを進めるうえでのインフラストラクチャーの整備という、縁の下の力持ち的な職務に就いた。その後、サイバーセキュリティーなどの新規事業立ち上げに手を挙げ、ある意味社内ベンチャー企業の“社長”として、事業の拡大に奔走した。現在はアクセンチュアの収益を支える、大きな柱の1つにまで成長させた。

アクセンチュアは「6つの仕組み」で人材育成に取り組んでいる
アクセンチュアは「6つの仕組み」で人材育成に取り組んでいる

 「実際に制度として、このような仕組みがあるのは珍しいのではないか」と市川氏。この自由に職を選べるサイトは、アクセンチュア人材育成の仕組みの1つにすぎない。特集の第6回では、こうした人材を育てるアクセンチュアのすごい仕組みを紹介していこう。

アクセンチュアのカルチャーの評価バロメーター

 特集では5人のアクセンチュア出身者を紹介した。5人に共通するのは、アクセンチュアのカルチャーが仕事の礎になっているという点だ。このアクセンチュアのカルチャーを表すのが、「クライアント価値の創造」「ワン・グローバル・ネットワーク」「個人の尊重」「ベスト・ピープル」「インテグリティ」「スチュワードシップ」という「(2)6つのコアバリュー」で整理されている。詳しくは特集の第1回で紹介しているので、ぜひお目通しいただきたい。

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