アクセンチュア・ファミリー 第3回

九州では有名だが全国では無名。佐賀発のロングセラーアイス「ブラックモンブラン」を主軸とする竹下製菓(佐賀県小城市)は、長らく地方の一アイスメーカーだった。だが、ここ数年で関東に進出するなど全国規模に事業を拡大させ、グループ全体の売り上げは6年前の約2倍に伸長した。この快進撃の立役者が竹下真由社長だ。アクセンチュアを経て、2011年に竹下製菓に入社。16年に社長に就き、家業を継いだ。アクセンチュア流の考え方を社内に根付かせることで、“攻める企業”へと変貌を遂げたことが成功要因だ。

「ブラックモンブラン」で知られる竹下製菓の5代目社長の竹下真由氏
九州出身者にとって“ソウルフード”とも言われるアイスクリーム「ブラックモンブラン」を製造する竹下製菓。その5代目社長が竹下真由氏だ

 本特集では、アクセンチュア出身者を「アクセンチュア・ファミリー」と名付け、その躍進劇と背景にあるアクセンチュア流のカルチャーを紹介してきた。アクセンチュア出身者は“卒業後”もネットワークを築き、グローバルで交流できる“生態系”を築いていることが、「アクセンチュア・ファミリー」の所以(ゆえん)だが、本当のファミリーになった例もある。

 竹下製菓の業績好調の立役者である、社長の竹下真由氏と副社長の竹下雅崇氏だ。2人はアクセンチュア時代の同期で、2010年に結婚した。真由氏は竹下製菓の一人娘。家業を継ぐため、11年にアクセンチュアを退社し、そのままUターン就職した。14年には雅崇氏も竹下製菓に入社し、16年にはそれぞれが現在のポジションに就任。アクセンチュア流の経営改革に2人で手を取り合い挑んでいる。

 真由氏が新卒でアクセンチュアを選んだのには2つの理由があった。1つ目は大企業の知見を得ること。「家業を継ぐことは学生の頃から決めていた。新卒では、短期間でさまざまな事業のことを学べる仕事に就きたかった」と真由氏は振り返る。

 2つ目は、意外にも「パートナー探し」だ。パートナーとは仕事的な部分はもちろん、「生涯の伴侶」という意味でもある。「夫をビジネスパートナーにもしたいと考えており、佐賀へ一緒に戻ってくれる人を探していたときに、外資系コンサルという選択肢が頭に浮かんだ」。この2つの条件を満たしたのがアクセンチュアだったのだ。

 企業選びだけではなく、パートナー選びも戦略的。お互いの苦手分野を補完し合える関係を目指し、個性が異なるタイプを探したという。真由氏は「私はおおざっぱな性格で、四角な座敷を丸く掃くタイプ。パートナーには、重箱の隅をつつくような細かい指摘ができる人が合う」と自己分析していた。雅崇氏はまさに凹凸がぴったり合うようなタイプだったのだ。

「パートナー選びも戦略的」と振り返る竹下真由氏
「パートナー選びも戦略的」と振り返る竹下真由氏
竹下 真由(たけした まゆ)氏
竹下製菓社長
東京工業大学大学院・社会理工学研究科を修了後、2007年にアクセンチュアに入社。10年に職場結婚をし、11年に家業である竹下製菓にUターン就職した。14年から商品開発室長を務め、16年に同社の5代目社長に就任

 2人が入社する前の竹下製菓は、お世辞にも競争力がある企業とは言えなかった。雅崇氏は「地元では有名なので、社員の誰もが会社がつぶれるとは思っておらず、危機感を持っていたのは僕らだけ。コスト管理が甘くなり、年間数千万円分の廃棄ロスが出続けていたが、現場で改善しようとする動きは見られなかった」と振り返る。アクセンチュアの知見を生かし、竹下製菓をチームビルディングできないか。そんな思いから2人の挑戦が始まった。

アクセンチュアの経験を中小企業でどう生かす

 アクセンチュアは、社員の行動や意思決定の基となる「6つのコアバリュー」を定めている。その中で、チームビルディングの柱にしたのが、人々の多様性を認めて受け入れ合う環境をつくる「個人の尊重」、最高の人材をひきつけ、育成する「ベスト・ピープル」、より持続性のある優れた企業を築き、オーナー意識を持って行動する「スチュワードシップ」という3つの考え方だ。

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