アクセンチュア・ファミリー 第1回

50カ国200都市以上に拠点を持つ世界最大級のコンサルティングファームとして知られるアクセンチュア。同社で経験を積み、たくわえた知識を基に起業したり、事業会社のIT要職で活躍したりする人材が注目を集め始めている。そこで、本特集ではアクセンチュア出身者が下積み時代に学んだ知識や経験を、どのように現職で生かしているのか。その方法から成果を出すための仕事術を学ぶ。第1回はソニーグループ執行役員CIO(最高情報責任者)の樋田(とよだ)真氏を紹介しよう。

アクセンチュア出身者は「アクセンチュア・ファミリー」とも呼べる独自のネットワーク構築している(写真/Shutterstock)
アクセンチュア出身者は「アクセンチュア・ファミリー」とも呼べる独自のネットワークを構築している(写真/Shutterstock)

 ソニーグループ執行役員CIO(最高情報責任者)の樋田真氏、日清食品ホールディングス執行役員CIOの成田敏博氏、九州発のアイス「ブラックモンブラン」で知られる竹下製菓(佐賀県小城市)の竹下真由社長、化粧品口コミサイト「@cosme」を展開するアイスタイルの吉松徹郎社長……。

 大企業のIT要職から、地方企業の経営者、メガベンチャーの創業者まで、バラエティーに富んだ面々に見えるこれらの人物には1つの共通点がある。それは、コンサルティング会社アクセンチュア出身者であるということだ。いずれも最初の就職先として、アクセンチュア(社名変更前のアンダーセン・コンサルティングを含む)を選択。同社で経験を積み、スキルを身に付け、事業会社で成果を上げている。

 まずは改めて、アクセンチュアがどのような企業かおさらいしよう。同社は米国の監査法人アーサー・アンダーセンのコンサルティング部門として1953年に設立。日本事務所は62年に開設された。89年に分社化され、前身となるアンダーセン・コンサルティングが誕生した。2001年に現在のアクセンチュアへと社名を刷新。現在はグローバルで最大級のコンサルティング会社として知られ、50カ国で事業を展開し、71万人超が働く。

 アクセンチュア出身者で、コンサルティング会社を起業したムーンプライド(東京・港)の中村基樹社長は「アクセンチュアはSIer(システムインテグレーター)に近いコンサルティング会社というイメージを持たれているが、事業会社として備えるべき機能をすべて顧客企業に提供している」と説明する。そして、最大の強みは「提案から実行、そして成果を出すまでを一貫する点にある」と続ける。

 提案を絵にかいた餅に終わらせず、その提案内容を完遂することをプロジェクトの責任者は求められる文化がある。加えて、単に実行可能な範囲での提案にとどまらない。「汎用的な売り物としてはまとまっているが、アクセンチュアピープルはそれを基に背伸びをしてでも、新しい価値を生み出そうとするDNAがある」とアクセンチュア執行役員テクノロジーコンサルティング本部成長戦略統括の市川博久氏は言う。

アクセンチュア出身者に共通する6つの価値基準

 そうした社風を象徴するのが、アクセンチュアの従業員に共通する、以下の6つのコアバリューだ。

(1)クライアント価値の創造:クライアントがハイパフォーマンス・ビジネスを実現できるようにする。また、クライアントの期待に応え、深く関与し、首尾一貫した価値を提供することで、長期的な関係を築く

(2)ワン・グローバル・ネットワーク:世界中どのクライアントに対しても最高のサービスを提供するために、国際的な見識、関係、連携、知識を効果的に活用する

(3)個人の尊重:人々の多様性を認め、一人一人の独自の貢献を尊重しながら、オープンで、信頼しあい、受け入れあう環境を作り上げる。アクセンチュアの価値観を反映したやり方で一人一人に接していく

(4)ベスト・ピープル:私たちのビジネスにとって最高の人材をひきつけ、育成し、引き留める。社員の意欲を駆り立て、”Can Do”という姿勢を発揮させ、協力的で相互に支え合う環境を作り出す

(5)インテグリティ:倫理的に確固たる態度で、正直に振る舞い、信頼を築き上げる。意味することを正確に伝え、言行を一致させ、責任を持って行動する

(6)スチュワードシップ:次世代のために、より持続性のある強く優れた企業を築き、アクセンチュア・ブランドを守り、利害関係者との約束を果たし、オーナー意識をもって行動し、人材を育成し、地域社会と地球環境の改善を支援する、という私たちの責任を果たす

 これら6つのコアバリューは時代の変遷と共に言葉を換えてはいるものの、本質的な共通するカルチャーとしてアクセンチュア出身者に身に付いている。

 また、アクセンチュア出身者はグローバルと国内の両方で「アクセンチュア・ファミリー」とも呼べるネットワークが構築されている。「メーリングリストやオンライン上のコミュニティーで、いつでも相談し合える関係性が構築されている」と中村氏は明かす。事業会社に転じた後も、このネットワークを通じて仕事の相談ができる。これは、アクセンチュアにある「ナレッジ・エクスチェンジ」という、グローバル共通の事例共有ネットワークに起源がある。こうした「アクセンチュアのすごい仕組み」は特集の第6回で詳しく解説する。

 本特集ではアクセンチュア勤務を経て事業会社に転職、起業、家業を継いだ人々への取材を通じて、アクセンチュア出身者の強さの秘密に迫る。最初に登場するのは、ソニーグループCIOの樋田氏だ。樋田氏は86年にアンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2008年にファーストリテイリングに執行役員として入社し、グローバル戦略の裏側を担った。17年にソニーに入社し、CIOとしてソニーのデジタル戦略の中核を担っている。

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