猶予は1年 「GA4」への乗り換え術 第1回

米グーグルが「Googleアナリティクス」の旧バージョンを2023年7月で停止すると発表してから約5カ月。新版「GA4」への乗り換え猶予は1年を切った。早急な準備が必要だが「GA4は従来版より分かりづらい」という声も聞こえてくる。データの扱いや操作面で何が変わったのか。専門家にポイントを聞いた。

Webサイト解析ツール「Googleアナリティクス」が、最新版「GA4」に切り替わる。乗り換え猶予は1年を切った(写真/Shutterstock)
Webサイト解析ツール「Googleアナリティクス」が、最新版「GA4」に切り替わる。乗り換え猶予は1年を切った(写真/Shutterstock)

 アクセス解析ツール「Googleアナリティクス(以下、GA)」が新バージョンに切り替わる。GAは訪問者数やページビュー、平均ページ滞在時間など、Webサイトの状況を手軽に把握できるため、幅広い企業に使われてきた。上場企業のWebサイトの9割が利用している、という統計結果もある。

 これまで使われてきた従来版が、2012年に登場した「ユニバーサルアナリティクス(以下、UA)」だ。一定量までは無料で利用できることもあって、アクセス解析の定番ツールとして浸透してきた。米グーグルが新バージョンの「Google アナリティクス 4(以下、GA4)」を20年10月に発表した後も、使い慣れたUAを使い続ける企業は多かった。

GA4とUAの画面。基本的な画面構成はよく似ているが、細かい部分でのデータ取得方法や操作法が異なる
Google アナリティクス 4(GA4)とユニバーサルアナリティクス(以下、UA)の画面。基本的な画面構成はよく似ているが、細かい部分でのデータ取得方法や操作法が異なる

 風向きが変わったのが22年3月だった。UAの機能を23年7月に停止して、以降は新たなデータ分析ができなくなる、とグーグルが発表したのだ。従来の計測データに23年内はアクセスできるが、いずれは表示できなくなる。有料版も23年10月をもって機能を停止する。

●従来版(Universal Analytics)のサービス終了時期
UAの機能を23年7月に停止して、以降は新たなデータ分析ができなくなる。それまでにGA4への乗り換えを完了する必要がある
UAの機能を23年7月に停止して、以降は新たなデータ分析ができなくなる。それまでにGA4への乗り換えを完了する必要がある

 もはや日々の業務にUAが不可欠、という人も猶予は1年。手になじんだ道具であるUAから離れ、新バージョンのGA4へ乗り換えなくてはならない。問題は「GA4は従来と大きく変わっていて分かりづらい」という声が聞こえてくることだ。本特集ではその背景と、スムーズな切り替えを進める上でのポイントを紹介していく。

「ページ単位」ではなく「ユーザー行動」を計測

 「今までWindowsを使ってきた人に、来年からMacしか使えません、今からMacを使って下さいと言っているようなもの」。そう話すのは、WebアナリストでGA関連の書籍を執筆し、講演の登壇も多い小川卓氏だ。WindowsとMacでは、細かい点で操作が異なる。Windowsを使ってきた人が、初めてMacを使うと「設定画面がどこにあるのか」「右クリックはできないのか」と迷うことがある。それでも使い方を学び、試行錯誤しているうちに、使えるようになる。「GA4も、ぶっちゃけると“慣れ”。始めは変わりすぎたことへの戸惑いがあるかもしれないが、しばらく使っていれば慣れる」と小川氏は説明する。

 では、なぜ分かりづらいといわれるのか。その理由は複数あるが、まず第1に「計測の単位が変わったところが大きい」と小川氏は話す。前身となるWeb解析ツールをグーグルが買収し、GAとして発表したのは05年。ちょうど「Web 2.0」という言葉がバズワードとして広がった時期で、Webページの構造や機能は現在と比べるとシンプルだった。

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