「顔を見せる」ことは弱者の戦略? 規模拡大へ進み始めた2社が意識することとは。クラシコム社長の青木耕平氏と、「よなよなエール」で知られるクラフトビールメーカー・ヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)社長の井手直行氏の対談後編。本記事では、ニッチからより広い領域へ進んでいる両社の戦略の本質を激論する。
――ヤッホーブルーイングもクラシコムも、(前編の記事で触れたように)当初はマスではない領域でビジネスを展開していたと思いますが、今や多くのファンに愛され、裾野も大きく広がっていると感じます。初期から支持している「少数派だから好き」というファンの中には、ブランドが成長するにつれて離れていく人もいると思います。ずっと昔から応援してくれていた人が離れるのは怖いことだと思いますが、そこはどう乗り越えてきましたか?
ヤッホーブルーイングの井手直行氏(以下、井手) 怖かったですよ。でも、感覚でやってはいけないと思ったので、規模拡大のフェーズに入る前の2014年に、1年間ほどかけて徹底的に調査や検討をして、方針を決めました。
米国では、すごく大きくなったクラフトビールメーカーの中に、変わらずファンがすごく支持してくれるところと、そうじゃないところがあるんです。そこでまず、米国の市場に詳しい人に話を聞きました。いろいろなブルワーにインタビューしたり、インポーターに話を聞いたりして、支持されているブルワーとそうでないブルワー、それぞれに対する意見や理由をまとめました。
一方で、ヤッホーブルーイングのお客さんのコメントやレビューもできる限り集めました。なぜうちを支持するのか、理由なんかも含めて。そして、両者を並べて、僕らが本当に大事にしたいところを探したら、最終的に3つに集約できたんです。それが経営理念に定めている「ヤッホーバリュー」の3つです。
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