話題の経営者2人の共通点とは。今回は、連載「『北欧、暮らしの道具店』はなぜ愛されるのか」の番外編として、クラシコム社長の青木耕平氏と、「よなよなエール」で知られるクラフトビール大手・ヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)社長の井手直行氏の対談をお送りする。独自の世界観を持ち、熱いファンが多い2社。そしてその企業をユニークな手法で経営することで知られる経営者同士だが、本格的な対談は初めてだという。対談前編の本記事では、2人が感じた互いの企業の共通点から、2社の強さに迫る。
――クラフトビールをけん引するヤッホーブルーイングと日用品やアパレルのECを中心に多様なコンテンツやチャネルで生活者とつながるクラシコム。どちらも生活者とほどよい距離感を持ち、温かいコミュニティーが生まれていると感じています。まず、お2人が互いの企業、もしくは経営者として、共感できると思う点や共通している点をお話しいただけますか。
クラシコムの青木耕平氏(以下、青木) 実際に、会社の中に入ってみたらどうなのかは分かりませんが、これまで井手さんや社員の方にお会いしたり、あるいはメディアを通じて見たりしたとき、とても楽しそうにやっているなという雰囲気を感じていました。
僕はそれを「キャッキャ言っている」と表現していて、そのことをクラシコムではずっとKPI(重要業績評価指標)的に追っかけているんです。というのも、そもそも「キャッキャ言う」ことが難しいのであって、キャッキャ言うところまでいったら、後の課題は全部イージーだろうという感覚があるんです。例えば、市場がどのように変化しようとも、プロダクトのサイクルがどうなろうとも、キャッキャ言っている土台ができていれば、この会社はいかようにも対応していく、そこで働く人がそういう気持ちでいられる場所をつくれているだろうとすごく思っているんです。
井手さんが実際にどういう方なのか、がっつりお話ししたことがないので分かりませんが、少なくともキャッキャ言うカルチャーを体現することや、組織としての活力、ちょうどいい温度感をつくるために先頭に立っているんだろうな、というイメージを持っています。そういう“ソースオブエナジー”みたいなところにすごく興味があるし、魅力を感じています。
クラシコム社長
ヤッホーブルーイングの井手直行氏(以下、井手) いきなり、その切り口で来るとは思いませんでした。ちなみに、今日もスタッフと3人で、新幹線と中央線を乗り継いでここ(編集部注:東京都国立市のクラシコム本社)まで来たんですけど、車内でもキャッキャしていましたね。例えば、僕が昔勤めていた企業の本社が三鷹にあったので、三鷹を通るときには「ここに本社があってね」みたいな話をしながら、沿線をキャッキャ言いながら。いつもそんな感じなんですが、青木さんはそういうところを見ていらっしゃった、鋭いなとすごく感じました。
ヤッホーブルーイング社長
――意識的にそういうカルチャーをつくっているということでしょうか?
井手 そうですね。以前は、我流で感覚的にやっていたんですけれど、組織をどうしていけばいいのかを学んでいくうちに、こういうカルチャーは大事だなと思うようになって、今は意識的にやっています。
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