ネットメディアはもちろん、経済誌から週刊誌まで、多くのメディアに取り上げられているクラシコム。2022年8月に東証グロース市場へ上場した際にも多くのメディアが取り上げ、話題を集めた。さぞかし広報活動にも力を入れてきたのだろうと思われがちだが、実は本格的に広報を開始したのは21年10月と、ほんの1年半ほど前のことだ。なぜ今、広報活動に力を入れ始めたのか、代表の青木耕平氏と広報担当の馬居優子氏に聞いた。
クラシコムは、2006年の創業から14年ごろまでは、メディアからの取材にほとんど対応しない方針だったという。広報担当はおらず、受けたとしても代表の青木耕平氏や「北欧、暮らしの道具店」店長の佐藤友子氏が自分たちで一部対応する程度だった。
その理由を青木氏はこう語る。「当時、D2Cのお客様に集中してビジネスをしているフェーズ。取材依頼で多かったのはビジネス系のメディアで、取材を通じてビジネス面での記事が多く出てしまうと、『北欧、暮らしの道具店』の世界観が崩れてしまったり、お客様が純粋に楽しめなくなってしまったりするのではないかと懸念していたから」と説明する。もちろん、自社でオリジナルコンテンツを豊富に発信し、消費者に直接メッセージを伝えることができることも大きかった。
フェーズが変わったのは15年。B2B事業として企業やブランドの課題解決を支援する「ブランドソリューション」を開始したこともあり、ビジネス面に関してのメディアからの取材を“解禁”した。最初に対応したのがネットメディア「Lifehacker」だったという。取り上げられたのは、残業をしない働き方について。
▼関連リンク(クリックで別サイトへ) Lifehacker:18時で全員退社、それでも160%の業績を上げ続けるECサイト「北欧、暮らしの道具店」のクラシコムにみる働き方「これが結構バズって、そこが起点となりメディアからの取材が途切れずに続く状態になった。だからメディアに取り上げられるために広報活動をする必要がなかったし、意義も見いだしにくかった」と、青木氏は振り返る。
「自分たちはどう見られているのか」を知るために
そんな中、本格的な広報活動を開始することになったのは、株式市場への上場が視野に入り、独自性のある戦略で高い収益性を上げている企業に与えられる「ポーター賞」(一橋大学大学院経営管理研究科が運営)を受賞した21年のことだ。
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