メルマガやSNS、動画配信サービス、さらには自社アプリなどを通じて、多くのファンとつながるECショップ「北欧、暮らしの道具店」。同社がなぜ愛されるのか、その背景を探る本連載。第1回で代表の青木耕平氏に「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」のうちのミッションとビジョンについて詳細に聞いたが、第2回はバリューの秘密に迫る。

「北欧、暮らしの道具店」を展開するクラシコム。創業15年を機に2022年にロゴをはじめとしたVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)を刷新。ビジネスの多様性は大きく広がっているが、「ミッション・ビジョン・バリュー」を軸にした経営方針は変えていない。ぶれない姿勢を代表の青木耕平氏に聞いた
「北欧、暮らしの道具店」を展開するクラシコム。創業15年を機に2022年にロゴをはじめとしたVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)を刷新。ビジネスの多様性は大きく広がっているが、「ミッション・ビジョン・バリュー」を軸にした経営方針は変えていない。ぶれない姿勢を代表の青木耕平氏に聞いた

▼連載第1回は こちら 「『北欧、暮らしの道具店』はなぜ強い 鍵は柔らかい“ミッション”」

 一般的なECサイトの常識にとらわれず、Spotifyでの音声配信やYouTubeでのドラマ配信など、多様なチャネルでコンテンツメーカーとして存在感を発揮する「北欧、暮らしの道具店」。多種多様なチャレンジをする中でも、ブレずに、そして多くのファンに愛され続ける理由として、強固なミッション・ビジョン・バリューの存在があることを連載第1回では指摘した。

 青木氏の個人的な思いからミッションが生まれ、そこからビジョンが導き出されたことは前回の通りだ。では、バリューはどうなのか。

 青木氏は、ミッションを実現するためにクラシコムで働く人たちの行動基準を「バリュー」と定義している。「ミッションとビジョンに向かう組織と個人がどうあるべきか、どういうことを重視すべきか、あるいはどういう人たちであってほしいかという会社からのメッセージになるのがバリュー」(青木氏)という理由からだ。

 実は、創業時からあったバリューは、「勇気」「素直」「非競争志向」だった。

 自分を信じる「勇気」、仲間を信じる「勇気」を持って、楽観性を培う。「素直」に課題を捉え、「素直」でシンプルな解決方法を探す。他社や他者と比べる必要のない「非競争主義」で世界を捉え、自分たちにフィットしたビジネスモデルやマーケットをつくるといったものだ。

 ところが、「このバリューも言い当ててはいたが、練り切れていなかった」と青木氏。そこで2018年に思い切って新しいバリューを「センシティブ・チャーミング・オルタナティブ」に変更した。

クラシコム代表の青木耕平氏。2018年にバリューを刷新した理由は
クラシコム代表の青木耕平氏。2018年にバリューを刷新した理由は

 「最初に僕の中にあったのは、『センシティブ』という言葉。あることに関して、好きでも何でもない人には微細な違いでも、それを好きな人にとっては大きな差になることがある。我々のように、世界観や美意識にアプローチするビジネスでは、細かい差に気づくセンシティブさがすごく重要。また、微細なものに気づけることが、クリエーティブにつながる。気づかないことには何も起こらないから。一般的に、センシティブであることは弱点として扱われることが多いが、僕はセンシティブさをなくしてはいけないと思っていたので、それをまず強く言いたかった」(青木氏)

 一方で、センシティブには、インプットが多すぎて混乱しやすい、取り越し苦労が多くて“ダークサイド”に落ちやすいといった特徴もあるという。そこで、センシティブさを上手にセルフコントロールし、それを武器として使うために『チャーミング』であることが必要であると考え、さらにそういう能力を使ってまだみんなが見つけきれてない新しい選択肢に興味を持ち、新たな道を生み出してほしいという意味で『オルタナティブ』を加えたのだ。

バリューはビジョンと連携することで力を発揮する

 また、バリューの3要素「センシティブ・チャーミング・オルタナティブ」は、ビジョンである「自由・平和・希望」の3要素とより密接にリンクするようにもなった。

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