
タイガー魔法瓶(大阪府門真市)初の炭酸飲料対応の保冷専用ボトル「真空断熱炭酸ボトル」の売れ行きが好調だ。目指したのは、新しいライフスタイルの創出。ボトルは欧米市場を意識してデザインしたという。
タイガー魔法瓶は2022年1月に発売した「真空断熱炭酸ボトル」の国内での年間出荷数10万本の目標を、発売からわずか3カ月で達成し、すでに約16万本出荷している(7月20日時点)。海外市場での展開は開発当初から計画しており、中国や台湾、香港をはじめ、米国や欧州各国からも引き合いがきているという。タイガー魔法瓶の真空断熱ボトルブランドマネージャー南村紀史氏は、「アジアでは以前から真空断熱ボトルを販売してきたが、米国や欧州ではあまり展開できていなかった。真空断熱炭酸ボトルの販売を機に、欧米での販路を広げていきたい」と意気込む。
従来の保冷ボトルに炭酸飲料を入れると、ボトル内の圧力が上昇し、場合によってはキャップや栓などが破損する恐れがある。そのため、タイガー魔法瓶では、保冷ボトルに炭酸飲料を入れることは禁止事項で、開発もしていなかった。だが、近年は無糖の強炭酸水市場が伸長し続けており、炭酸飲料対応ボトルの要望も少なくなかった。
同社は、23年に100周年を迎える。それに伴い、社内では、数年前から次の100年に向けた「NEXT100」というスローガンを掲げ、既成概念にとらわれない製品開発に挑戦する機運が高まっていたという。「これまで安全面への懸念から踏み込んでいなかった炭酸飲料対応ボトルに着目し、19年から研究開発に取り組んだ」(南村氏)
炊飯器の技術を応用
課題は、ボトル内で気化した炭酸ガスを安全に抜くことだった。ただ、炭酸ガスが抜けすぎると、炭酸飲料のおいしさは損なわれてしまう。そこで開発したのが、「炭酸ガス抜き機構」と「安全弁」の2つの機構が備わった、「Bubble Logic(バブルロジック)」と呼ぶ栓だ。
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