※日経エンタテインメント! 2022年7月号の記事を再構成

タレントパワーランキング2022で芸人急上昇3位となった見取り図は、この春、正式に上京。関東初の冠番組が始まり、MCを任されることも増え、「気合いはバッチシ、今メラメラ燃えてます」と語る。その足掛かりとなったのが、この1年だった。本人たちの熱意ある取り組みと比例するように、パワースコアはアップ。「芸人急上昇」で3位という結果に。改めて、どんな1年だったのかを振り返ってもらおう。

「芸人急上昇」で3位となった盛山晋太郎(左)とリリーの見取り図
「芸人急上昇」で3位となった盛山晋太郎(左)とリリーの見取り図
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――この春、本格的に拠点を東京に移した見取り図。3度目の決勝進出となった2020年の『M-1グランプリ』でファイナルまで進み、3位になって以降、一気に全国ネットのテレビ出演が増えた。特番でMCに起用されるなど、千鳥やかまいたちに次ぐ“関西発”のスター芸人として快進撃が続いている。今回の調査では「芸人急上昇」で3位となり、その勢いを表す結果が出た。

パワースコアは右肩上がりで、芸人の活躍の場が増える年末年始を含む21年11月から22年2月の間で最も伸びた。1番の支持層は30代女性で、35ポイントに迫ったほか、20代女性が30ポイントを超えた。若い男性からの人気も高く、10代男性が3番目に続く。10代では男性支持が女性を超えるのが特徴的。20代、30代男性も10代と同水準で、若い層の男女からバランスよく好かれていることが分かる
パワースコアは右肩上がりで、芸人の活躍の場が増える年末年始を含む21年11月から22年2月の間で最も伸びた。1番の支持層は30代女性で、35ポイントに迫ったほか、20代女性が30ポイントを超えた。若い男性からの人気も高く、10代男性が3番目に続く。10代では男性支持が女性を超えるのが特徴的。20代、30代男性も10代と同水準で、若い層の男女からバランスよく好かれていることが分かる
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盛山 何ですか、この調査。へぇ~、「芸人急上昇」で3位!

リリー 1位は錦鯉さん? やっぱりそっか。でも3位をいただけて光栄です。うれしいですね。

盛山 支持層は30代女性が1番?

リリー 10代男性も多いかも。

盛山 同世代の男女と、10代の男子が中心なんですね。いや、ありがたいです。

――戸惑いながらも、素直に喜びを表した2人。話を聞いたのは、4月からスタートした関東での初冠番組『見取り図じゃん』(月曜25時56分/テレビ朝日。TELASAでは過去回も配信中)の収録後だった。約1年前の取材では、テレビ朝日の深夜枠である『バラバラ大作戦』で、冠番組を持つのが目標と語っていた。まずは、その『見取り図じゃん』の話から。

盛山 念願かないましたね。『見取り図じゃん』をやらせていただく前は、『バラバラ』をやってる人たちのことを、「いいな、うらやましいな」ぐらいにしか思ってなかったんですよ。それが今、同じ『バラバラ』の他の番組が気になって、気になって(笑)。人間、欲深いもので、『見取り図じゃん』が決まってから、昇格[※より見やすい時間帯に放送枠が上がること]のことばっか考えてます。な?

リリー 全く同じ。始まるってなった瞬間に意識が次に向かって、喜びはどっかに行きました(笑)。

盛山 ほんまにそう。それこそ、盟友のニューヨークが昇格したんで[※『NEWニューヨーク』が開始から1年で、26時台から23時台の放送枠に移動した]、僕らも次のステージに行きたいし、追っかけたいですよ。企画は、いろいろ楽しいことさせてもらってます。先日は大好きなドラマ『ビーチボーイズ』(97年)のワンシーンの再現とかして。

リリー 見てくれた人、どう思ったんだろう。

盛山 楽しかったのって俺らだけ(笑)? プロデューサーの小野(晋太郎)さんは、僕は下の名前も、世代も一緒。話が合うし、一緒に作らせてもらってて楽しいですね。

リリー 一緒に売れていきたいよね。もっと(放送時間が)上の番組もできたらなと思うし。

盛山 僕、大阪の番組の収録の合間に、小野さんに急に電話したことありますよ。「こんなん思いついたんですけど」って。「彼女か!」いうくらい(笑)。

リリー コワっ!

盛山 まあでも、今日収録した「ウラ桃太郎」という企画は、なんか匂いますね。

リリー うん。想像の何倍も面白くなった。メンバーもよくて。

盛山 芸人があんだけおったら、化学反応も起きるよな。即興の感じとか。音楽だとジャムセッションって言うんでしたっけ? ジャムりました(笑)。名物企画になったらいいんですけど。

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“コーンロウ”でロケが激増

――この1年を振り返ると、21年2月に、『M-1』ファイナリストが勢ぞろいした『相席食堂』(ABCテレビ)が全国ネットで放送され、ロケ中に2人そろって“コーンロウ”[※ブロック分けした髪の毛を編み込んで仕上げるヘアスタイル]姿になり話題をさらった。4月からは、朝の帯番組『ラヴィット!』(TBS系)の水曜レギュラーになり、10月には、22時台から19時台に枠移動した『ノブナカなんなん?』(テレ朝系)のメンバーに仲間入り。11月には『ちまたのジョーシキちゃん』(カンテレ)でMCに起用された。この他にも、特番『笑神様は突然に…』(日テレ系)では、リリーがキテレツな行動でインパクトを残し、『千鳥のクセがスゴいネタGP』(フジ系)では、「南大阪のカスカップル」のネタを定期的に披露するなど、様々な番組で活躍した。

リリー 『相席食堂』はすごい反響あったよな?

盛山 “コーンロウ”ってワードが初めて日本のツイッターでトレンド入りしたと思う。『相席食堂』以降、むっちゃロケが増えましたね。『見取り図じゃん』の初回でも、さらば(青春の光)の森田(哲矢)とコーンロウしたけど。

リリー 『ラヴィット!』は、朝の番組っていう意識はあまりなくて、通常のお笑い番組としてやってます。昨年は『ラヴィット!』が軸やったな。生放送だし。

盛山 そう。僕らまだ大阪から通いだったので、水曜日中心のスケジュールやったよね。でもそのおかげで、全国への顔見せというか、『ラヴィット!』が東京への足掛かりになって。

リリー 確かに。ありがたいタイミングだった。

盛山 1年間で「もう消えてしまう」くらいのスベり方したけど(笑)。『ノブナカなんなん?』は、22時台のときに1回出演して、それがきっかけでレギュラーにしてもらえたみたいです。思い返せば、VTRが最高に面白くて、ブーブーやかましく言ってただけ。

リリー そうやな。僕らがつかみ取ったというよりは、流れがラッキーという感じでしたね。

メインMCができるように

盛山 その後、『ちまたのジョーシキちゃん』も始まって。『快傑えみちゃんねる』(95年~20年)の後枠だから、関西じゃすごく意味のある枠なんです。

リリー 伝統のな。MCも少しずつ増えてきたんで、ステップアップしたいですね。『ノブナカ~』でノブさんとご一緒してると、毎回すごい勉強になるんだよな。

盛山 今、むっちゃメラメラしてます。『ノブナカ~』のノブさんを見て、俳優さんやアイドルさんにはこういうふうに対応するんだ、とか。若手のときは劇場でのMCはあったけど、それって相手はみんな芸人。他業種の人もいるなかでの立ち振る舞いとか、今までそんな意識したことなかったけど、学ばないといけないなって。

リリー メインでテレビのMCができるように、改めてな。ノブさんもそうですが、『ラヴィット!』のMCの川島(明)さんにはこの1年、本当に助けられました。スーパースターですね。

――「MC」や「全国区」といったワードも頻繁に飛び出し、拠点を東京に移してから、これまで以上に上を目指して取り組んでいることがうかがえる。今後の目標としてはどんなことを考えているのか。

リリー 冠番組をいっぱいやりたいです。だから、『見取り図じゃん』のやりがいはめちゃくちゃ感じてますよ。いいことも、悪いことも、全部自分たちに返ってくるじゃないですか。頑張りたいです。

盛山 気合いはバッチシ入ってますね。企画としては、反町(隆史)さんに会いたいです。

リリー 反町さん企画やろうよ。僕はゴルフの企画ができたら。

盛山 今後の目標は、天下取りたいです。今まで謙遜してきたんですけど、この間『あちこちオードリー』(テレ東系)で、若林(正恭)さんから「言ったほうがいいよ」ってアドバイスもらって、タガが外れました(笑)。そのためにも、『見取り図じゃん』の昇格ですよね。テレビ朝日の23時台の枠で冠番組をやるって、天下取りに必要な要素ですから。

リリー まあ、僕らがどうなっても、この番組が帰ってくる場所みたいになることを目指します。

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見取り図(みとりず)
左/盛山晋太郎(もりやま・しんたろう)1986年1月9日生まれ、大阪府出身。右/リリー 1984年6月2日生まれ、岡山県出身。NSC大阪校で出会い、2007年にコンビ結成。18年から3年連続で『M-1グランプリ』の決勝に進出し、20年は3位に。5月に放送された『見取り図の間取り図ミステリー』や、『蕎麦屋のカツ丼TV』など、特番でMCに起用されることが増加中

(写真/橋本勝美)

※調査方法/ランキング作成方法は特集第1回「綾瀬はるか連覇、羽生結弦、大谷翔平が躍進 タレントパワーランキング2022」に掲載しています