自身もZ世代(1990年代半ばから2010年代前半生まれ)で、若者向けの商品開発やマーケティングを行う「Z世代の企画屋さん」こと今瀧健登氏が、Z世代を盛り上げるキーパーソンと対談する連載。第4回は、TikTokの中国国内版であるショート動画投稿アプリ「抖音(ドウイン)」で動画を配信し、中国のフォロワー数が約125万に上る日本人インフルエンサー、シブルナ氏(24歳)が登場。世界的にも最先端を行く中国のSNSの知られざる実態や、高齢者も稼ぎ頭となっている現地のライブコマース事情を紹介する。

「Z世代の企画屋さん」こと今瀧健登氏(写真左)が、中国版TikTok「抖音」でインフルエンサー活動を行う、シブルナ氏に迫る
「Z世代の企画屋さん」こと今瀧健登氏(写真左)が、中国版TikTok「抖音」でインフルエンサー活動を行う、シブルナ氏に迫る

 抖音とは、TikTokを運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)が中国に特化して展開している動画配信プラットフォーム。開始は2016年9月で、17年5月にスタートしたTikTokより先行して提供されている。つまり、抖音こそが本家であり、TikTokはその海外バージョンという位置付けだ。

 抖音上で発信するインフルエンサーと、PR動画の制作・投稿を依頼したい企業をマッチングさせる機能や、ライブコマースを行いそのまま決済までできる機能など、日本のTikTokにはないサービスも実装しており、1歩も2歩も先を行っているのが実情だ。

 シブルナ氏は、その抖音で活躍する日本人KOL(キー・オピニオン・リーダー、中国の配信者の中で影響を持つインフルエンサーのこと)の中で10本の指に入る人物だ。中国留学中に“中国版ニコニコ動画”といわれる動画配信サイト「bilibili(ビリビリ)」で配信を開始。帰国後、抖音を使って中国向けに日本文化や、日本と中国の違いをパロディーにした動画などの投稿を始めると、中国人ユーザーの間で人気となった。中国人に受ける投稿ができる数少ない日本人であり、現地のトレンドにも精通している。

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「微博」から「抖音」への急速なシフト

今瀧健登氏(以下、今瀧) 日本にいると、中国のSNS事情や若者事情に関して、断片的、表面的な情報は伝わってきますが、本当はどうなっているのかが今ひとつ見えてきません。シブルナさんはその辺りの事情に詳しいと思いますが、実際のところ大きなトレンドはどう変化してきていますか。

シブルナ氏(以下、シブルナ) まず、この数年でテキストや静止画から、ショート動画にシフトする投稿者が急激に増えています。その最も大きな受け皿となっているのが「抖音(ドウイン)」です。21年の数字ですが、DAU(デイリーアクティブユーザー、1日当たりの利用者数)は6億人を突破しています。

今瀧 海外版であるTikTokのDAUは10億人以上ですが、1国でその6割に上る利用者がいるのは驚異的な数字ですね。

シブルナ また、抖音に加えて、中国版Instagramの「小紅書(RED)」も伸びています。反対に、中国版Twitterの「微博(ウェイボ)」は近年ユーザー数の変化があまり大きくないようです。

今瀧 ショート動画への急速なシフトは興味深い現象です。微博がそうなら、日本でのTwitterも今後成長が見込めるかどうか読みにくくなりますね。Twitterは初心者がフォロワーを伸ばすのが難しいプラットフォームで、新規参入のハードルが非常に高いです。それが、これから始めようとする人や企業にとってネックとなり得ます。

 その点、TikTokはコンテンツさえ面白ければフォロワー数に関係なくバズらせることが可能な、コンテンツファーストなプラットフォームであることが魅力。日本でも既にショート動画へのシフトが起こっていますが、今後は中国と同じくより加速していきそうですね。

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