※日経エンタテインメント! 2022年7月号の記事を再構成

2022年3月29日、韓国でリリースしたミニアルバム『ODDINARY』が米Billboardのアルバムチャート「Billboard 200」で1位を獲得したStray Kids(ストレイキッズ)。K-POPアーティストとして1位になったのは、BTS(防弾少年団)、Super Mに続く3組目となる。2018年の韓国デビュー以降、作詞・作曲・プロデュースを自ら手掛けるクリエーティビティとZ世代を中心に強く支持されるメッセージ性で、K-POPの中で独自のポジションを築いてきたStray Kids。特に20年からの人気拡大のスピードは速かった。彼らが駆け抜けた約4年半を見ていく。

Stray Kids。右からアイエン、チャンビン、リノ、スンミン、バンチャン、ヒョンジン、ハン、フィリックス(写真:Siyoung Song)
Stray Kids。右からアイエン、チャンビン、リノ、スンミン、バンチャン、ヒョンジン、ハン、フィリックス(写真:Siyoung Song)

 3月29日、韓国でリリースしたミニアルバム『ODDINARY』が米Billboardのアルバムチャート「Billboard 200」で1位を獲得し、K-POPアーティストとしては史上3番目の快挙を成し遂げたStray Kids。このニュースは、彼らの音楽性そのものへの支持がグローバルに拡大していることを強く印象づけた。

 これまで“K-POP第4世代のトップ”と言われ、様々な“第4世代初”の記録を更新し続けてきたStray Kidsだが、『ODDINARY』によって“第4世代のトップ”から、名実共にK-POPのトップアーティストの1組としての地位を堅固なものにしたと言えるだろう。

 彼らがいかなる道を歩みここにたどり着いたのか。まずはそこを振り返りたい。

前代未聞のサバイバル番組

 2017年、彼らはサバイバル番組『Stray Kids』を経て結成された。番組は、JYPエンターテインメント所属の練習生の中から、現在リーダーを務めるバンチャンが中心となってメンバーを構成し、プロデューサーであるJ.Y. Park氏が求める様々な課題に挑戦しながら、最終デビューに値するメンバーをジャッジしていくという趣向の番組だった。

 JYPの練習生として7年過ごし、才能あふれるバンチャン。その彼がポテンシャルを信じたメンバーが集まるグループゆえ、番組当初から極立ったメンバー同士の絆の強さがあった。それは今なおStray Kidsの根幹を成し、彼らの大きな強みになっている。

 番組で披露されたのが、『Hellevator』。のちに18年1月のプレデビューアルバム『Mixtape』のタイトル曲ともなった楽曲だ。現在グループのプロデュースを担うメンバー3人(バンチャン、チャンビン、ハン)から成るプロデューサーユニット「3RACHA(スリーラチャ)」は、すでにこの時点で作詞曲に参加している。

 これも作詞・作曲・プロデュースを自ら手掛ける独自性を感じさせるものであり、彼らの放つメッセージが同世代の若者に支持されるゆえんの1つでもある。現在、彼らを唯一無二のグループとする全ての萌芽は、すでに『Stray Kids』にあったのだ。

▼参考記事 3RACHAが語るSKY-HIとのコラボで得た刺激と可能性

アメリカ市場の手応えの中で

 18年3月、ミニアルバム『I am NOT』で正式デビューを果たすと、18年末から19年初めにかけての韓国の音楽授賞式では、異例の「新人賞11冠」を達成。

 19年1月からはデビュー初の海外ショーケースツアーとなる「UNVEIL TOUR’I am…’」を開催。アジア、オセアニア、アメリカ、ヨーロッパの10カ国13都市を巡った。

 19年3月、4thミニアルバム『Cle1 : MIROH』をリリースすると、アメリカを含む15の国と地域のiTunesアルバムチャートで1位を獲得した。

 同年11月23日からはグループ初のワールドツアーとなる「Stray Kids World Tour'District 9 : Unlock'」がスタート。12月には日本初の単独イベント「Stray Kids Japan Showcase 2019“Hi-STAY”」を開催し、翌20年3月に日本デビューベストアルバム『SKZ2020』で待望の日本正式デビューを果たした。

 だがコロナ禍の中、「Stray Kids World Tour’District 9 : Unlock’」はツアー途中で中止となり、予定されていた日本公演もなくなってしまった。

 過去の本誌インタビューで、彼らはこの時期をこう振り返っていた。「ステージに立ち、ファンに会い、パフォーマンスを披露するのを楽しみにしていた」「残念だが、できることに全力を注いでいく」。

億再生MVを連発した20年

 この言葉通り、彼らのエネルギーは20年に大きく爆発。「次世代トップ」の立ち位置を揺るぎないものにした1年となった。

 6月17日にリリースした1stフルアルバム『GO生(GO LIVE)』では、リード曲『God’s Menu』が、癖になる独創的なメロディーとユニークな世界観の歌詞、料理をモチーフに取り入れた斬新なコレオグラフィーで大きな話題を呼び、MV(ミュージックビデオ)の再生回数はグループ初の1億回を突破した(現在、3億2500万回超え)。

 続いて9月14日にリリースしたリパッケージアルバム『IN生(IN LIFE)』のリード曲『Back Door』は、11月に米TIME誌の「2020年のベストソング10(The 10 Best Songs of 2020)」にK-POPで唯一選出され、12月にはMV再生回数1億回を突破(現在、2億5300万回超え)。11月には『MIROH』(19年)も1億回突破を果たし、大躍進を印象づけた。

 並行して日本活動にも精力を注ぎ、11月4日に日本1stミニアルバム『ALL IN』をリリース。タイトル曲の『ALL IN』のほか、前述の『神メニュー -Japanese ver.-』『Back Door -Japanese ver.-』の日本語バージョンなどを収め、彼らの地位を固めていった。

『KINGDOM』での優勝

 続く21年2月には『My Pace』も1億回再生超え。さらに彼らが次のフェーズに進んだことを確信したのが、4月から放送が始まったサバイバル音楽番組『KINGDOM : LEGENDARY WAR』だ。現役のK-POPボーイズグループ6組(Stray Kids、BTOB、iKON、SF9、THE BOYZ、ATEEZ)が与えられた課題に対してコンセプトやステージを自ら考え、パフォーマンスを披露して競い合うこの番組で、6月3日、Stray Kidsは優勝を手にした。

 6月26日にリリースしたデジタルシングル『Mixtape : OH』は米Billboardのワールドデジタルソングチャートで1位を獲得。8月の2ndフルアルバム『NOEASY』では、JYP所属アーティスト史上初のミリオンセラーを記録した。さらに、リード曲の『Thunderous』のMVは自己最短の55日で再生回数1億回に到達(現在2億400万回)。

 日本では、10月に日本2ndシングル『Scars/ソリクン -Japanese ver.-』をリリースしたが、その反響の大きさは、日本でも彼らが大幅に人気を拡大していることを証明した。

日本デビュー後、初の来日公演

 そして22年3月、冒頭で触れたように6thミニアルバム『ODDINARY』で、ついに米「Billboard 200」1位の偉業を達成した。

 それに先立つ2月、JYPはTWICEに続き、Stray Kidsらに関しても、米Republic Recordsとの戦略的パートナーシップを締結したことを発表した。Republic Recordsは、ユニバーサルミュージック傘下で、テイラー・スウィフトやアリアナ・グランデらが所属する米トップレーベル。「アメリカに強い」と評価されてきたStray Kidsだが、今後さらに欧米での存在感を強化していくものと思われる。

 コロナ禍の活動停滞期から音楽業界が一歩踏み出すなか、Stray Kidsも4月29日の韓国・ソウル公演から2度目のワールドツアー「Stray Kids 2nd World Tour“MANIAC”」をスタートした。現在、3カ国11都市21公演が予定され、北米ではソールドアウトが続出し、追加公演も発表されている。

写真は、圧倒的なパフォーマンスを見せた「Stray Kids 2nd World Tour “MANIAC”」韓国公演より。韓国公演最終日の模様は、Beyond LIVEを通じて全世界に配信された。(写真提供:JYP Entertainment)
写真は、圧倒的なパフォーマンスを見せた「Stray Kids 2nd World Tour “MANIAC”」韓国公演より。韓国公演最終日の模様は、Beyond LIVEを通じて全世界に配信された。(写真提供:JYP Entertainment)

 6月11日から東京と神戸で開催される6回に及ぶ日本公演は、日本デビュー以来初の来日公演。デビュー前のショーケースから約2年7カ月ぶりの来日となる。6月22日には日本2ndミニアルバム『CIRCUS』のリリース。日本で大旋風を巻き起こす日も近いだろう。

日本2nd ミニアルバム『CIRCUS』
待望の新作には、韓国ミニアルバム『ODDINARY』のリード曲「MANIAC」の日本語ver.『MANIAC -Japanese ver.-』(先行配信中)のほか、韓国語楽曲の日本語ver.として『蜘蛛の糸(VENOM) -Japanese ver.-』『Silent Cry -Japanese ver.-』を収録。さらに日本オリジナル楽曲として『CIRCUS』『Fairytale』『Your Eyes』3曲も収録される。全6曲。DVD付きの初回限定生産盤A、ZINEが付く初回限定生産盤B、通常盤(写真)、FC盤の4形態展開。(Epic/通常盤2500円)
日本2nd ミニアルバム『CIRCUS』通常盤
日本2nd ミニアルバム『CIRCUS』通常盤
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