パーソナライズに取り組みたい企業は多いが、最初から高度な施策を展開することは難しい。まずは着手しやすいタッチポイントから少しずつパーソナライズされたコミュニケーションを始め、その範囲を広げていくほうが現実的だ。その第一歩としてお勧めなのが、メールマーケティングのパーソナライズだ。メールというと一世代前のタッチポイントと捉えられがちだが、幅広い世代に利用されており、マーケティング手段として高いパフォーマンスを誇る。メールを活用して信頼関係を築ければ、スパムと認定されることなく顧客満足度を上げることは難しくない。そんなメールマーケティングのパーソナライズ施策について見ていこう。
メールの力はあなどれない
企業と顧客のコミュニケーションチャネルはWebサイトだけではない。2000年代半ばからはFacebookやTwitterなどのSNSが登場し、企業やブランドのアカウントと消費者が直接コミュニケーションを取る機会が増えた。動画プラットフォームや画像共有SNSも、同様に、企業と消費者をつなぐ重要なチャネルとなった。近年は自社独自のスマートフォンアプリやポイントカードアプリを発行し、顧客サービス向上に努める企業も多い。こうしたテクノロジーの進化により、企業/ブランドと消費者の距離はより近く、さまざまなチャネルでコミュニケーションが交わされている。
顧客コミュニケーションのタッチポイントというと、このようにSNSやアプリばかりが取り沙汰されるが、もう1つ忘れてはならない大切なタッチポイントがある。それがメールだ。「今どきメールなんて使わない」「メルマガを送っても誰も見ない」と思われがちだが、実は個人のメールに対する信頼度は今でも非常に高いのだ。
総務省が出している『令和3年版 情報通信白書』によると、13歳~60歳以上のユーザーにインターネットの利用目的について尋ねたところ「電子メールの送受信」が各年齢階層で高いことが分かった。「ソーシャルネットワーキングサービスの利用」もかなり高いが、やはり60歳以上になるとその影響力は若干低い。つまりメールは、年代に偏らずコミュニケーションを取るための有効なチャネルといえる。
そもそもECサイトをはじめとするさまざまなオンラインサービスは、利用に当たり顧客のメールアドレスを基本とする企業が多い。それこそSNSサービス自体、メールアドレスがないとスタートもできない。
ドイツの調査会社Statistaによると、61%の消費者が「ブランドからの連絡はメールで受け取りたい」と回答している。
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