2022年7月4日発売の「日経トレンディ2022年8月号」 ▼Amazonで購入する では、創刊35周年を記念し、「家電、文房具、日用品オールタイムベスト」を特集。文房具もデジタル化による進化が起こり、2011年にキングジムが手掛けたメモ帳「ショットノート」が一大ブームとなった。高性能カメラ搭載のスマホの登場でデジタル系の存在意義は薄れたが、メーカーの試行錯誤は続いている。

※日経トレンディ2022年8月号より。詳しくは本誌参照

文房具も「デジタル化」による進化が起こった。左上はキングジムの「マメモ」、右上はキングジムの「ショットノート」、下はぺんてるの「エアペンポケット」
文房具も「デジタル化」による進化が起こった。左上はキングジムの「マメモ」、右上はキングジムの「ショットノート」、下はぺんてるの「エアペンポケット」
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 2000年代にパソコンや携帯電話が一層普及すると、文房具も「デジタル化」による進化を模索し始めた。メーカーが目指したのは、メモなど文字情報のデジタル化だ。単語帳をデータ化した「メモリボ」(コクヨS&T、現コクヨ。06年発売)、名刺を画像に置き換える「ピットレック」(キングジム、10年発売)と、ヒット商品も生まれた。

 中でも一大ブームといえるほど売れたのが、11年にキングジムが手掛けたメモ帳「ショットノート」だ。ノート四隅のマーカーが写るようにスマホで撮影すると、ゆがみを自動補正。手書きのメモなどをスマホに取り込んで管理できる点が受け、シリーズ累計販売数は13年10月に300万冊を突破した。コクヨやナカバヤシも競合商品を投入し、市場全体が盛り上がった。

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 この勢いをそいだのが高性能カメラ搭載のスマホや、“手書き”しやすい大画面を備えるタブレットの台頭。メモのデジタル化自体は誰でも可能になり、デジタル文房具の存在意義は薄れたのだ。10年代前半までに発売した製品で、今も残っているものは少ない。

一点突破に磨きをかける

 ただ、メーカーの試行錯誤は続いている。現在はデジタル化以外の付加価値も備える進化版が特に人気だ。コクヨが19年に発売した「しゅくだいやる気ペン」はセンサーを搭載し、子供の鉛筆に取り付けて勉強への取り組み具合を見える化する。約7000円と値は張るが、独自性が際立つ。累計販売数は2万5000個と好調だ。

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