
関東を中心にスーパーマーケット118店舗をチェーン展開するサミット(東京・杉並)が、8年ぶりにネットスーパーに参入する。かつてのネットスーパーは専用の配送拠点を用意するセンター型だったが、新ネットスーパーは店舗から出荷する店舗出荷型をとる。このネットスーパーの裏側を支えるのが、三重県鈴鹿市に本社を置くスーパーサンシだ。同社は地方発のネットスーパー成功企業として知られる。その成功ノウハウを基に、ネットスーパー支援事業に参入した。
サミット(東京・杉並)は2022年7月6日、同年10月からネットスーパー事業を開始すると発表した。サミットにとってネットスーパーは再参入に当たる。かつて、1000億円規模の売り上げを目指していたが、道半ばにして14年10月31日にサービスを終了した過去がある。
以前のネットスーパーと新ネットスーパーの最大の違いは、出荷方式だ。従来はネットスーパー専用の物流センターを設けるセンター型だった。新たに始めるネットスーパーは店舗を配送拠点として利用する、店舗出荷型だ。22年10月時点では、東京・世田谷の「サミットストア砧店」1店舗から開始する。当然、商圏は店舗周辺に限られる。今後、徐々に対応店舗を拡大させていく方針だ。
他にも一般的なネットスーパーとは異なる点がいくつかある。まず月額制である点。サミットのサービスを利用する場合、戸建ての場合は 月額550 円(税込み)、マンションなどの集合住宅の場合は同 880 円(税込み)がかかる。代わりに配達料は1500円(税別)以上の注文であれば、何度使ってもかからない。次に原則、置き配である点。会員には鍵付きのロッカーを貸し出し、商品はそのロッカーに配達する。
ネットスーパーに詳しい人であれば、この仕組みを聞いただけで誰が裏側を支えているのかが推察できるだろう。サミットの新ネットスーパーを全面的に支援するのは、三重県鈴鹿市に本社を置くスーパーサンシだ。スーパーサンシの売上高はサミットと比較して桁が1つ小さい。だが、ネットスーパーとしての経験値ははるかに上だ。サミットはその知見を頼った。
▼関連記事 ウォルマートに先行 驚異の地方ネットスーパー5つの成功条件スーパーサンシはインターネットが普及する前から宅配事業に取り組み、ノウハウを蓄積。「もうかるネットスーパー」のセオリーを独自で編み出した。そのノウハウをネットスーパーのフランチャイズ化という構想の下、ネットスーパーのプラットフォーム「Japan NetMarket(ジャパン ネットマーケット)」というサービス名で外販を始めた。サミットはこのスーパーサンシのプラットフォームを活用して、ネットスーパーに再参入する。
サミット以外にもいちやまマート(山梨県中央市)、ナイス(秋田市)、義津屋(愛知県津島市)など約20社がこのプラットフォームに乗っている。「営業活動はそれほどしていない。スーパー業界は横のつながりが強い。成功例を耳にして、お声がけいただいている」とJapan NetMarket事業を率いるスーパーサンシ常務取締役NetMarket事業本部長の高倉照和氏は言う。
「絶対にもうかる」と断言できる理由
多くのスーパーはなぜスーパーサンシを頼るのか。その理由を高倉氏はこう言い切る。
「当社が支援するネットスーパーは、顧客の稼働率が限りなく100%に近くなる。客単価も3500円前後と高単価だ。会員さえ集めれば、必ず売れる」
その自信は「トータルで100億円以上はドブに捨ててきた」(高倉氏)というほどの数々の失敗を経てたどり着いた、独自の成功モデルに裏打ちされている。
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