もうかるネットスーパーのつくりかた 第1回

フィンランド発のフードデリバリーサービス「Wolt」を展開するWolt Japan(東京・渋谷)が、2022年7月にネットスーパー事業から撤退したことが日経クロストレンドの取材で明らかになった。22年7月3日にネットスーパー「Wolt Market」の国内8拠点を全て閉店。21年12月の参入から、約半年での撤退となる。今後は既存の小売業者との提携を強化するなど、配送網を生かした配達支援に徹する。市場が急拡大する中で、早くも雌雄を決し始めた。

フィンランド発のフードデリバリーサービス「Wolt」を展開するWolt Japan(東京・渋谷)は2022年7月3日、21年12月から展開していたネットスーパーサービス「Wolt Market」を終了した
フィンランド発のフードデリバリーサービス「Wolt」を展開するWolt Japan(東京・渋谷)は2022年7月3日、21年12月から展開していたネットスーパーサービス「Wolt Market」を終了した

 Wolt Japanが展開していたネットスーパーサービス「Wolt Market」はダークストア型と呼ばれる、新しい業態のネットスーパーだ。ダークストアとは、配達専用スーパーを指す。実際のスーパーマーケットのように店舗の棚に商品を陳列するものの、その役割はあくまで配送拠点だ。ECサイトやスマートフォンアプリで商品を販売し、Woltと契約する配達員が顧客の自宅に届ける。

 フードデリバリーから事業を開始したWoltだが、直近では「おもてなしデリバリー」を掲げ、食に限らないデリバリーサービスへと範囲を広げている。Wolt Japanはそうした事業拡大の一環として、食料品や日用品など、約2000品目の商品を注文から約30分で届ける即時配達のダークストア型ネットスーパーWolt Marketを21年12月に札幌の2拠点から開始した。運営は関連会社のWolt Market Japan(東京・渋谷)が手掛けていた。

 サービスの対象地域に住む消費者は、各拠点に設けられた注文ページで商品を選択して注文する。注文方法は一般的なECサイトと同様だ。商品一覧から商品を選び、購入点数などを設定してカートに入れて決済する。スーパーマーケットと同様に生鮮食品なども充実させていた。配送料は地域によって異なるが、札幌では1km未満が99円、1~2km未満は199円、2~3km未満は299円、3km以上は399円だった。最大配達距離は5kmとしていた。

 21年12月の事業開始を皮切りに、22年1月に北海道・函館、同2月に広島に2拠点をオープンするなど、順調に事業を拡大していたかのように見えていた。だが、Wolt Japanはそれら8拠点の営業を22年7月3日をもって、全て終了した。同日まで、複数の店舗でアルコールなど一部商品を除く全品を30%引きで販売するキャンペーンを実施していた。さしずめ“閉店セール”といったところだろう。現在、全拠点のECサイトは閉店中になっている。

Wolt Marketは、21年12月の事業開始を皮切りに、22年1月に北海道・函館、同2月に広島に2拠点をオープンするなど、順調に事業を拡大していたかのように見えていた
Wolt Marketは、21年12月の事業開始を皮切りに、22年1月に北海道・函館、同2月に広島に2拠点をオープンするなど、順調に事業を拡大していたかのように見えていた

 Wolt Japanでは食料品から日用雑貨まで、さまざまな商品が短時間で自宅に届く「ローカルコマースプラットフォーム」を構築するために事業を展開してきた。こうした中、ネットスーパー事業は既存の小売事業者との提携と、自社で展開するWolt Marketの2つの軸で事業を展開してきた。

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