2023年3月13日から、新型コロナウイルス感染対策としてのマスク着用のルールが変わり、着用は個人の判断に委ねることが基本になった。では、新型コロナに感染した場合に重症化するリスクが他世代に比べて高いシニア層は、ノーマスク解禁をどう考え、どうしようとしているのか。シニア世代向けコミュニティー「趣味人倶楽部」を運営するオースタンス(東京・渋谷)が実施したアンケート結果からは、脱マスクには慎重なものの、アフターコロナに向けた前向きな意識が垣間見えた。
新型コロナウイルス対策としてのマスク着用が、2023年3月13日から「個人の判断」に委ねられた。医療機関の受診時や、混雑した電車・バス乗車時や病院での受診時などは引き続き着用が推奨されるが、日常生活においては「脱・マスク」を選択できるようになった。なお、学校では新年度の4月1日以降、マスクの着用を求めないことになっている。
では、新型コロナ感染の重症化リスクが高かったシニア世代は、ノーマスク解禁をどのようにとらえているか。シニア世代が交流するコミュニティーサービス「趣味人倶楽部」を運営するオースタンスが23年3月に趣味人倶楽部の会員にアンケートを実施したところ、脱・マスクには慎重な回答が目立った。
3月13日以降のマスク着脱について、「マスクは着用しない」「基本的に着用しないが、場合によっては着用する」「基本的に着用するが、場合によっては着用しない」「マスクは引き続き必ず着用する」の4択で選んでもらったところ、最も多かったのは「基本的に着用するが、場合によっては着用しない」で4割を占めた(39.9%)。「マスクは引き続き必ず着用する」25.5%と合わせると「今後もマスク」派は65.4%に上り、ほぼ3人に2人が基本的にマスク着用継続の意向を示している。「基本的に着用しないが、場合によっては着用する」が28.3%、「マスクは着用しない」は5.8%だった。
続いて、上記の回答を選んだ理由について尋ねたところ、「マスクをすると感染のリスクが下がると感じているから」が56.3%でトップ。同じく今後もマスク派の理由である「周りの人が着用しているから」は8.4%だった。同調圧力を気にしてマスク着用を継続する考えの人はわずかで、マスクの効能に期待しての着用が多数派を占める。
厚生労働省はマスク緩和に際し、「これまでと変わらず重要な感染対策の一つ」とマスクの役割を強調している。ゴールデンウイーク明けの5月8日以降、新型コロナの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行する予定だが、5類移行後の「新たな健康習慣」ガイドラインでも、「外出時はマスクを携帯し、必要に応じて着用」と記されている。こうした方針がマスクの着脱判断に影響しているようだ。
マスク着脱の判断については慎重な姿勢を崩さないシニア世代だが、日常生活面では確実にアフターコロナに向かってポジティブな意識変化が見られる。
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