“一発屋”で終わらせないブランド術 第5回

フルサイズ一眼カメラでシェアトップを誇るソニーの「α」。市場をけん引する同ブランドだが、2006年のスタート当時は完全なる逆風下にあった。圧倒的2強が存在する一眼カメラ市場でいかにシェアを奪い、そしてプロカメラマンの心を捉えていったのか。その裏側を長らくαの企画に携わるキーパーソンに直撃した。

プロのスポーツカメラマンや報道カメラマンなどの間で、少しずつ利用者を増やしているソニーの「α」。スタート当時はプロに見向きもされない“劣等生”がなぜここまで愛されるようになったのか
プロのスポーツカメラマンや報道カメラマンなどの間で、少しずつ利用者を増やしているソニーの「α」。スタート当時はプロに見向きもされない“劣等生”がなぜここまで愛されるようになったのか
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 2021年夏に開催された東京オリンピック・パラリンピック。選手たちの熱い戦いが繰り広げられる中、実は撮影席でもひそかに熱戦が繰り広げられていた。

 スポーツ選手の一瞬を切り取るプロカメラマンの手元を見ると、ある異変が起きていることに気付く。プロ向けを含むハイエンド一眼カメラ市場は長らく、キヤノンとニコンの2強状態。五輪の撮影を見ても2社がほぼ独占状態だった。だが21年の五輪では、ソニーがその牙城に食い込んだのだ。

 五輪会場には、各国の報道関係者の拠点となるメインプレスセンター(MPC)が設置されている。ここには、報道カメラマンに向けて機材の点検修理、貸し出しなどを行うサービス拠点を各カメラメーカーが出展。それはまさに、プロに愛用されていることの証明でもある。18年の平昌オリンピック・パラリンピックでは、キヤノンとニコンのみがMPC内にブースを設置していて、ソニーはMPC外で展開をしていた。だが、今大会で初めてソニーがMPC内に展開することに。いよいよプロ機材としての存在感が大きくなりつつあることの証左だろう。

 実際、プロや愛好家が好むハイエンドモデルである35mmの大型フルサイズセンサーを搭載した一眼カメラでは、21年度(21年4月~22年3月末まで)の金額ベースでソニーがトップシェアとなっている。

ソニーは、大型イメージセンサーを備えるハイエンド一眼カメラ市場で存在感を高めている
ソニーは、大型イメージセンサーを備えるハイエンド一眼カメラ市場で存在感を高めている
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そびえる2強に対し、「ソニーのα」は逆風下でのスタート

 プロに認められ、存在感を増しているソニーだが、振り返ればαの船出はまさに逆境からのスタートだった。

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