SNSの分析を通した採用マーケティングの支援を行うNo Company(東京・港)が、Z世代の就活事情を解説する連載の第4回。前回に引き続き、同社の独自調査を基にZ世代の仕事に対する価値観を明らかにし、企業がどのようにアプローチすべきかを考察していく。

(写真/Shutterstock)
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 No Companyが就職活動に取り組むZ世代444人を対象に行ったアンケート調査では、前回の記事でお伝えした就職活動におけるSNSの活用実態とともに、Z世代が理想とする働き方や就職活動を行ううえでの価値観についても明らかになっている 関連記事:就活はZ世代とつながる重要イベント 共感集める企業の特徴は?

 今回は、アンケート調査結果とSNS上で顕在化しているイシュー(課題)との共通点、相違点も含めて考察していきたい。Z世代の価値観に企業はどのように寄り添うべきなのだろうか。

【調査概要】
調査時期:2022年7月
調査方法:オンラインアンケート
調査対象:首都圏および近畿圏在住の19~22歳の就活をしている学生444人

社会課題の解決をうたう前にやるべきこと

 就職活動をするうえで魅力的な企業について聞いたところ、「残業が少ない企業」が58.1%で最も高い結果となった。以下、「給与が高い企業」(55.9%)、「リモートワークが可能な企業」(38.1%)と続く(下図)。

 魅力的な企業の条件の1~5位までは、上に挙げた残業の有無や給与条件、また副業の可否や住宅補助など、企業の労働環境に関するもので占められている。その他の環境問題やジェンダー課題、まちづくりへの取り組みは、一定数の就活生が関心を寄せているのは事実だが、労働環境が充実していることが前提と考えられる。

 中身のない「名ばかりSDGs(=SDGsウォッシュ)」が問題提起されて久しいが、今回の調査結果は「中身がないこと」だけではなく、そもそもの企業の体制が整っていない中で社会課題に対するアプローチを推し進めることの空虚さを示している。

 残業に関してSNSで話題になった記事を見てみると、違法残業や長時間労働に対する問題提起や裁判に関するニュースが目立っていた。SNS投稿を分析すると、2022年卒や21年卒を自称するTwitterアカウントによる予想外の残業を嘆く声や、上司に長時間労働を強制されたことで退職意向が高まり転職を決意したとする声など、現場のリアルが垣間見える。

Z世代は「自分の価値観に合う環境」を重視

 続いて、将来の働き方に対する価値観について聞いた。すると、「自分の能力を生かせる仕事がしたい」と考えている学生が45.5%で、最も多い回答となった。「気の合う仲間と仕事したい」(37.2%)、「仕事をする場所・環境が快適でありたい」(31.3%)、「自分なりのやり方で、自由に仕事を進めたい」(30%)と続く(下図)。

 上位4つの回答に共通して言えるのは、自身の価値観と合う環境の選択が重視されていることだ。

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