SNSの分析を通した採用マーケティングの支援を行うNo Company(東京・港)が、Z世代の就活事情についてデータと事例を基に解説する連載の第2回。今回は採用コミュニケーションを通じてどのようにしてZ世代の心をつかみ、共感を増やしていけばいいのか、具体事例を基に解説していく。
2022年2月に電通が発表した「2021年 日本の広告費」によると、インターネット広告費がマスコミ4媒体(テレビ・新聞・ラジオ・雑誌)の広告費を初めて上回ったことが明らかになった。特にZ世代をターゲットにした広告コミュニケーションでは、SNSの活用が必要不可欠だ。交通広告や新聞広告なども、リアルでの接触というよりはTwitterなどでの二次拡散ありきのコミュニケーション設計が多くなっている。
例えば、21年から展開されて話題になっている「明治プロビオヨーグルトR-1」の受験生向け応援メッセージ広告がある。22年は大学入学共通テストに合わせて、試験会場の最寄り駅などで受験生の“親”から受験を控えた子どもたちに向けた心強いメッセージを掲出。SNS上でポジティブなコメントとともに拡散されていた。
また、富山大学が主催する「就活ガイダンス」をユニークなメッセージとともに告知するポスターも、リアル広告でありながらSNSで拡散された事例の一つだ。エレベーターのボタンの横に「譲り合いは、就活以外で」など、クスッと笑えてつい見てしまうコピーが話題になり、200人の募集枠に対して500人の応募が集まったという。いずれも、テキストをベースにしたシンプルなメッセージ広告でありながら、多くの注目を集めた。
その要因は、世の中で話題になっているイシュー(課題)の読み解きにあると考えられる。受験や就職活動は多様化しているとはいえ、多くの生活者が同じようなプロセスをたどる。そのため、いわゆる「あるある」の共感軸で展開された広告には関心が寄せられやすいのだ。
就活でZ世代の心をつかむ方法とは?
就職活動は人生の中でその後のキャリアに対する価値観を形成するうえで、大きなライフイベントとなる。初めて企業と接点を持つ学生が大半を占めることを考慮すると、就職活動時の企業とのつながりがその後の関係性に大きな影響を及ぼすことは想像に難くない。新卒採用、そして若年層を対象とした中途採用市場は、企業とZ世代の強烈な接点づくりの場とも言える。
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