すごいネーミング開発の舞台裏 第1回

ハウス食品のスパイスペースト調味料「魅惑のハリッサ」「楽園のサテトム」「禁断の黒コショウ」。アフリカやベトナムの伝統的な調味料を、新開発の製法で商品化した。日本ではまだなじみのない味を、あえてシンプルなネーミングとパッケージで訴求。早くもシリーズ販売数100万本を突破する勢いだ。

左から「魅惑のハリッサ」(2021年2月8日発売)、「楽園のサテトム」(22年2月14日発売)、「禁断の黒コショウ」(20年2月10日発売)。内容量はいずれも95グラム、価格はいずれもオープン(税別参考小売価格358円)
左から「魅惑のハリッサ」(2021年2月8日発売)、「楽園のサテトム」(22年2月14日発売)、「禁断の黒コショウ」(20年2月10日発売)。内容量はいずれも95グラム、価格はいずれもオープン(税別参考小売価格358円)

 スーパーやコンビニ、雑貨店で人が商品を選ぶとき、「選ぶ」という行為に影響するさまざまな要素がある。Webで見た商品情報、SNS(交流サイト)で飛び込んでくる売れ筋情報、家族や友人から聞いた口コミ情報……。実際に目にした商品のパッケージデザインも大いに影響する。そして、「ネーミング(商品名)」も重要な要素の一つだ。

 「詳しい説明不要。名前を聞いただけでその商品の特徴が一発で分かる」「聞いただけでわくわく感や期待が高まる」「一度耳にしたら忘れない」など、ネーミングにもいろいろなタイプがある。いずれにせよ、優れたネーミングは消費者とのコミュニケーションツールとして欠かせない。今回の特集では、編集部が注目したユニークなネーミングを取り上げ、どのようにそれが生まれたのかを取材した。

 ハウス食品には、“やみつきになる旨さ”をうたう調味料のシリーズがある。「禁断の黒コショウ」「魅惑のハリッサ」「楽園のサテトム」の3つだ。いずれもスパイスを加工してペースト状にしたものだが、黒コショウはともかく、「ハリッサ」とか「サテトム」と聞いても、日本ではまだ、どんな味のものだか分からない人も多いだろう。だが、実はシリーズ3商品の累計で販売数100万本(2022年6月末時点)を超える人気商品だ。

 ハリッサは唐辛子を主な材料にしたペースト状の調味料で、ニンニク、クミン、コリアンダーなどを加えることが多い。アフリカの地中海沿岸西部地域(マグレブ)に伝わる調味料だ。サテトムとは一言で言えば“ベトナム風ラー油”であり、レモングラスとエビが入っているのが特徴だ。さらに東南アジア特有のハーブやスパイス、魚醤(ぎょしょう)なども加える。

 いずれもスパイスによる辛さと、あまり体験したことがないような斬新な味や香りが特徴だ。「料理にほんの少し加えるだけで、味を大きく変えられ、刺激的な味が楽しめることを目指した商品だ」と、同社食品事業三部チームマネージャーの戸矢崎裕希氏は言う。日常の食事がマンネリ化していたり、子供がいる家庭では子供の舌に合わせて辛さや刺激を控えめにしなければならなかったり、スパイスを多く使うと家族の間でも好き嫌いが分かれたりと、食卓の味は単調になりがちだ。そんなときに、大皿ではみんなが食べられる味付けにするとしても、これらの商品を使えば自分の手元で味をガラッと変えられるというわけだ。

日本ではまだあまりなじみのない調味料だけに、メニューを開発しネットや店頭実演などで積極的に発信している。写真はギョーザにハリッサを付けて食べる提案(上)と、「ハリッサディップソース」
日本ではまだあまりなじみのない調味料だけに、メニューを開発しネットや店頭実演などで積極的に発信している。写真はギョーザにハリッサを付けて食べる提案(上)と、「ハリッサディップソース」
楽園のサテトムを唐揚げに合わせる提案(上)と、卵かけご飯にのせる提案
楽園のサテトムを唐揚げに合わせる提案(上)と、卵かけご飯にのせる提案
禁断の黒コショウを使った「禁断の黒炒飯」(上)と「禁断の炭火焼き風黒鶏もも焼き」
禁断の黒コショウを使った「禁断の黒炒飯」(上)と「禁断の炭火焼き風黒鶏もも焼き」
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