
花王グループのカネボウ化粧品による口紅「KATE(ケイト)リップモンスター」が人気だ。2021年5月に発売して以来、22年5月20日までの累計販売数が350万本を突破した。ヒットの秘密は口紅の色を「欲望の塊」「ラスボス」などと独自に表現し、販売ターゲットとした若者の注目を集めたからだ。
「欲望の塊」「2:00AM」「⽔晶⽟のマダム」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。魔界ゲームのようなイメージを与えるかもしれないが、これはKATEリップモンスターとして販売している口紅の色名なのだ。
例えば「欲望の塊」は、「派手な赤は嫌、子供っぽく見えるピンクも嫌、絶妙な赤ピンク色の口紅が欲しいというモンスターの欲望に応えるピンクレッド」といったストーリーがある。このモンスターとは、販売ターゲットである10~20代前半の若者たちのことだ。
「2:00AM」は、モンスターが活発になる時間帯である、不気味なダークナイトをイメージしたくすみ系ディープレッド。「水晶玉のマダム」は、水晶玉の中にいる真っ青な顔色のマダムの肌にさえなじむような、血色感を演出するスカーレットレッドだという。
ほかにも、モンスターの世界にあるピンク色のバナナをイメージしたまろやかなニュアンスのある、まろみピンクベージュの「Pink banana」、モンスターたちが飲んでいる飲み物をイメージした、煮詰めたカボチャとワインの深みを感じる、黒み・まろみのあるテラコッタブラウンの「パンプキンワイン」などのほか、モンスターのおやつの熟れたイチジクをイメージした奥行きのあるブラウンレッドの「ダークフィグ」もある。さらにくすみ系ローズレッドの「ラスボス」などは思わずどんな色なのか、なぜそうしたネーミングなのかと探りたくなりそうだ。
2022年4月には新たに3色を追加している。力強い存在感を放つルビーレッドの「誓いのルビー」、深い夜にほんのり火照ったようなスモーキーピンクの「3:00AMの微酔」、憧れていた太陽をいっぱい浴びたようなフレッシュオレンジの「憧れの日光浴」が加わり、全14色で展開中。いっそうの成長を狙う。
マスクでもメークを楽しみたい
本来は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でマスクをしていてもメークを楽しみたいというニーズに着目して開発した、落ちにくい高発色リップ。落ちにくさの秘密は、唇から蒸発する水分を活用した独自技術にある。マスクをしていても落ちにくく、付けたての色がそのまま長時間持続。保湿成分の配合で、うるおいも兼ね備えているという。KATEシリーズの中で一番落ちにくい口紅なので、“最強”を表現するため商品名をモンスターとした。
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