トヨタ自動車のコンパクトミニバン「シエンタ」の新型が登場。コンパクトながら大人7人が乗れ、しかも燃費が大幅に向上したとあって出足は好調だ。だが、本当に大型化しなくてよかったのだろうかと、小沢コージ氏は疑問を投げかける。その答えを求め、トヨタの開発者を直撃した。
新世代骨格を採用、燃費も大幅アップ
7年ぶりにフルモデルチェンジしたトヨタ自動車のコンパクトミニバン、新型「シエンタ」が売れている。約20年前の2003年に初代がデビューした7人乗り3列シート車(5人乗りもある)。全長4メートルちょっとのコンパクトサイズでありながら、大人7人がギリギリ座ることができる。この利便性こそが最大の売りで、22年8月23日に発売されるなり、約3週間で2万4000台を受注。登録台数に関しては半導体やパーツ不足から伸びない可能性もあるが、人気の高さは本物だ。
その秘密は、2代目でやや攻め過ぎたラテン系デザインがほどよく無難になり、CMの子犬のごとく愛着を抱きやすくなったこと。さらに、格段に優れた燃費性能や先進安全機能の向上がある。
ただ、個人的に一番不思議に思ったのは、肝心のボディーサイズにはほとんど手を付けなかった点。4260ミリメートルの全長、1695ミリメートルの全幅、2750ミリメートルのホイールベースは不変。唯一全高のみが1695ミリメートルで2センチ伸びているが、それでも旧型の4駆モデルと同じだ。要するに基本となるボディーのスリーサイズは、ほぼ変わってないと言っていい。
だからといって、骨格が旧型のキャリーオーバーというわけではない。それどころか完全に一新し、今回のシエンタの売りともいえるトヨタ肝いりの新世代骨格を採用。20年デビューの人気コンパクト「ヤリス」や21年デビューの「アクア」と同じコンパクトカー専用の「GA-Bプラットフォーム」を使っているのだ。
基本はそれ故の性能アップで、パワートレインはヤリス&アクア譲りの人気の1.5Lハイブリッドの他、1.5Lガソリンのダイナミックフォースエンジンも選べる。結果、ハイブリッドの最良モード燃費は28.8キロメートル/L(5人乗りグレードX)ととんでもない低燃費で、旧型ハイブリッドに比べ2割以上も向上している計算になる。実燃費も20キロメートル/L超えは確実で、ガソリン代が高騰している昨今、この環境性能の向上はうれしい限りだ。
その他、ワンタッチで操作できるデュアルパワースライドドア(挟み込み防止機能付)の採用など、いろんな意味で扱いやすさが向上している。
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