ダイハツ工業のセミトールワゴンタイプの軽自動車「ムーヴ キャンバス」の2代目が売れている。初代は2016年9月に発売され、女性を意識したスタイルが注目された。小沢コージ氏は2代目が売れている理由について、キュートなボディーや男性にも刺さるターボエンジンの投入以外にもあるとみる。

2022年7月13日に発売されたダイハツ「ムーヴ キャンバス」。1カ月での受注台数は約2万6000台という
2022年7月13日に発売されたダイハツ「ムーヴ キャンバス」。1カ月での受注台数は約2万6000台という

2代目は1カ月で2万6000台受注

 絶妙にニッチな、スライドドアの軽セミトールワゴン、ダイハツ工業の2代目「ムーヴ キャンバス」が人気を伸ばしている。昨今のパーツ不足で納車は遅れ気味と思われるが、2022年7月13日に発売されるなり、最初の1カ月で約2万6000台受注。軽自動車として久々のスマッシュヒットだ。

 21年9月には初のライバルたるスライドドアの軽セミトールワゴン、スズキ「ワゴンRスマイル」が登場した。こちらも受注状況は悪くないが、やはりムーヴ キャンバスのほうが安定的な売れ行きを保っているという。

 推測される人気の理由はいくつかあるが、まずは最大の特徴である1950~60年代のフォルクスワーゲンの“ワーゲンバス”のような、キュートな2トーンカラーボディーだろう。軽スライドドアとしては背が低めでかわいいフォルムを生かし、ムーヴ キャンバスはルーフ側にホワイト、ボディー側にパステルカラーを塗り分けるかわいい配色が選べる。さらに新型となる2代目は、フロントセンターの丸形エンブレムをあえて抜き、「CANBUS」のロゴを配することで見た目のゆるキャラ度が増した。鼻を省略した愛らしいアニメ顔のようになったのだ。

 もう一つはキャンバスに初めて追加されたターボエンジンだ。初代は主に女性ユーザー向けとして開発され、エンジンは660ccのノンターボしか選べなかった。だが、今回は最高出力64psのターボも選べる。加えてターボモデルに限り、ギアボックスに燃費とダイレクト感を兼ね備えたダイハツ独自のD-CVT(スプリット駆動を採用した金属ベルト式無段変速機)を組み合わせる。これで軽にパワーとキレ味の良い走りを求める男性ユーザーにも訴えやすくなった。

センターの丸形エンブレムをあえて抜き、「CANBUS」のロゴを配したフロントデザイン
センターの丸形エンブレムをあえて抜き、「CANBUS」のロゴを配したフロントデザイン
初代には丸形のエンブレムがあった(画像提供/ダイハツ工業)
初代には丸形のエンブレムがあった(画像提供/ダイハツ工業)

絶妙な全高の低さこそが魅力

 ただし、業界的には当たり前かもしれないが、ムーヴ キャンバス最大の魅力はその「絶妙な背の低さ」にある。これはある種、静かなる軽スライドドア車の革命でもあるのだ。

 ご存じの方も多いと思うが、現在日本で一番売れる軽自動車は、ホンダ「N-BOX」やスズキ「スペーシア」といった、両側スライドドアを持つ全高1.7メートル台の軽スーパーハイトワゴンだ。このカテゴリーは03年にダイハツ「タント」が先べんを付け、11年の初代N-BOXが人気を不動のものとした。今や登録車を含む日本で一番売れる乗用車でもある。

 しかし今回のムーヴ キャンバスやライバルのワゴンRスマイルは、全高1.6メートル台とちょい低め。それぞれベースは1990年代のワゴンR、ムーヴと、どちらもヒンジドアを持つ国民的人気のセミトールワゴンであり、ある意味それぞれをスライドドア化したのがワゴンRスマイル、ムーヴ キャンバスなのだ。そしてこの絶妙な全高の低さこそが、ムーヴ キャンバスの存在を特異なものとしている。

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