2022年6月16日に発売された日産自動車「サクラ」、三菱自動車工業「eKクロス EV」の販売が好調だ。両社が共同開発したこの軽自動車規格の電気自動車(EV)について、「価格こそがクルマの最大の性能」と実感したという小沢コージ氏。両社の戦略の違い、EV化シフトへの道を解説する。
軽こそEV化がピッタリに決まってる
「2022年6月13日の時点でサクラが約1万1000台、eKクロス EVは約3400台。現時点(7月初頭)ではサクラが約1万7000台でeKクロス EVが約4600台。どちらも想定以上ですね」(日産自動車広報部)
話題の軽EV、日産サクラと三菱eKクロス EVの販売が好調だ。サクラの目標は未公表だが、eKクロス EVは月販目標台数の850台を軽く上回ってるし、このままいけば合わせて年間5万台も見えてくる。
それでも国内新車セールスのやっと1%にすぎない※1。しかし、この調子なら年間10万台の大台も夢ではないし、小沢の勝手な予想を言えば、日産&三菱勢が今後共通プラットフォームを使った両側スライドドア軽EVを追加し、競合のスズキやダイハツがより安い軽EVをリリースすれば、遅ればせながら日本の本格EV化も見えてくる。
そこで一つ気になるのは、補助金の問題だ。ざっと車両価格を言うと、サクラ、eKクロス EV共に、一般向けのベースグレードはほぼ240万円(税込み、以下同。上級グレードは294万円)。ここから国の補助金55万円を引くと185万円。軽で185万円と聞くと「高い!」と思う人がいるかもしれないが、イマドキの軽はEVじゃなくても普通に160万円前後はする。航続距離はさておき、軽EVならではの上質感を考えれば、それなりに納得できる値ごろ感となる。
逆に難しいのが地方自治体による補助金や助成金で、東京都から最大45万円(再エネ電力導入しない場合。導入する場合は60万円)、神奈川県から同20万円、その他場所によって異なるが、神奈川県は既に受け付けが終わっているし、前者も夏には終わるといわれている。
短期の補助金は両刃の剣で、寸前に打ち切られた人のガッカリ感や販売意欲低下を考えると、ないほうがいい部分もある。小沢の感覚では国の補助金だけで十分。こちらは秋ごろまで続きそうだし、23年度分も見込まれている。現状を考えれば、「地方自治体分はもらえたらラッキー」くらいの感覚で構えていたほうがいいだろう。
国の補助金すらなしでも買うくらいの意気込みがあることが一番理想的ではあるが……。
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