“売らない店”、「b8ta(ベータ)」を運営する、ベータ・ジャパン(東京・千代田)の北川卓司代表取締役と、ドイツで同様のビジネスを展開する「_Blaenk(ブランク)」のマーティン・ブレセム代表による対談後編。売らない店をけん引してきた2人だからこそ分かるビジネスの難しさと、それらをどう乗り越えていくかについて議論が白熱した。
競合と差異化図る_Blaenkの“DNA”
――日本では、大手百貨店の間でも「売らない店」の参入が相次ぐなど、小売業の新たなビジネスモデルとして浸透してきました。ドイツの状況はいかがですか? また、_Blaenkには競合はいるのでしょうか?
マーティン・ブレセム氏(以下、ブレセム) ドイツも似たような状況です。オンラインでは適切に商品を紹介できているブランドが多いものの、オフラインはまだうまく活用できていません。そのため売らない店のような、オフラインでも有効なソリューションが求められています。
競合という意味では、ドイツでは2から3社が我々と同じようなビジネスを展開しています。
北川卓司氏(以下、北川) 欧州全体にまで目を広げると競合はいるんですか?
ブレセム 似たようなことを手掛けているプレーヤーは各地にいるのですが、欧州全土に名をとどろかすようなスタートアップはまだいないと思っています。ただ各国にニーズがあるはずなので、フランス、ベルギー、オランダ、デンマークなどの大国には大きなチャンスがあると思います。
ドイツ内の競合は我々から見ると、どれも同じように見えてしまい、“自分たちのDNA”がないんじゃないかと感じています。なので_Blaenkでは、自分たちのアイデンティティーを持ち、展示する商品を選ぶようにしています。
――_Blaenkの “DNA”の表現方法について教えてください。
ブレセム _Blaenkは革新的で、人々のライフスタイルを加速させるようなプロダクトを紹介したいと思っています。というのも最近では多くの人が、買い物に対してより深く考えをめぐらせるようになっているからです。より良い生活に役立つことはもちろん、サステナブル(持続可能)である必要があります。加えて、_Blaenkのメンバーがその製品やブランドの価値観に共感できることも重要です。これらを提供することこそが、最終的に消費者のメリットになると考えています。
何でもかんでも商品を展示すればいいというわけではありません。_Blaenkの価値観やDNAと一致しないと感じた企業やブランドは出品できないこともあります。
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