「売らない店」のパイオニアでもある、米国発の「b8ta(ベータ)」。同サービスの日本上陸時から、国内の「売らない店」市場をけん引してきたベータ・ジャパン(東京・千代田)の北川卓司代表取締役が識者と対談し、次世代小売りの在り方を探る連載。2回目は、中央大学理工学部ビジネスデータサイエンス学科教授の生田目崇氏を迎え、小売業のデータ活用法について探る。
購買データを補完するプロセスデータ
生田目崇氏(以下、生田目) 私は企業の生産管理や管理技術を主とする経営工学の中で、特にマーケティングや経営問題に関するデータサイエンスを研究しています。最近はビッグデータやAI(人工知能)も普及してきており、企業の扱うデータがリッチになってきました。これらのデータをどのように活用していくかという研究をしています。
北川卓司氏(以下、北川) 今日はデータサイエンスが専門の生田目先生といくつかのテーマで議論したいと思っています。まずは「小売業が収集すべき顧客データ」について。
私が代表を務めるb8taをはじめ、多くの「売らない店」は、店内に設置したAIカメラなどで取得した定量データと、販売員が接客によって収集した来店客の生の声(定性的なデータ)を出品企業に還元するというビジネスモデルを展開しています。
b8taに関して言うと、定量データは、例えば企業の商品が出品されている区画の前を通り過ぎた来店客の数など、シンプルなデータを収集し企業に提供しています。それ故に出品企業自身がある程度仮説を持っていないと、このデータを使いこなせない。企業によっては、「データをもらったものの、どうやって生かしていけばいいのでしょうか?」となってしまうのです。
ですので今後、企業が自社の事業に生かしやすいよう、どうやって定量的なデータを提供していくのがいいか。先生はこの点、どのようにお考えでしょうか?
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