2022年6月3日発売の「日経トレンディ2022年7月号」 ▼Amazonで購入する では、「逆境に勝つマネー術」を特集。大規模な値上げラッシュが続き、生活を防衛するために買い物の工夫が欠かせなくなった。「駆け込み買い」「多重セール」「ポイ活見直し」「PBフル活用」という4つの鉄則を組み合わせ、守りの“盾”を最大化したい。

※日経トレンディ2022年7月号より。詳しくは本誌参照

食品や日用品など様々な商品で価格改定が進み、買い物による出費が家計を圧迫し始めている
食品や日用品など様々な商品で価格改定が進み、買い物による出費が家計を圧迫し始めている

 食パンが平均8.7%、家庭用パスタなどは約2~8%、ティッシュペーパーなど紙製品は10%以上……。食品や日用品など様々な商品で価格改定が進んでおり、日々の買い物による出費が家計を圧迫し始めている。食品主要メーカー105社だけでも2022年6月、7月の2カ月だけで、約3000品目が値上げされるという大規模な値上げラッシュだ(帝国データバンク調べ)。これから生活を防衛していくためには、買い物の工夫が欠かせない。買う時期や店舗選びなど複数の工夫を組み合わせれば、生活を守るための“盾”を最大化できる。

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 まずは買うタイミング。食品では、原料価格に注目するなどして値上げリスクを読み、まとめ買いの参考にする。例えば小麦を原料とする商品の値上げに直結する輸入小麦の政府売渡価格の値上げが進んでおり、22年10月にさらなる引き上げが想定されている。となると、既に価格改定が進む小麦粉やパスタなどは今後さらに値上がりし、上昇率の高まるリスクが高い。このようにリスクを把握しておけば、メーカーの発表にも気付けるので、価格改定前の「駆け込み買い」がしやすくなる。

【見直しポイント】生活必需品がコスト激増 現状とリスクを把握する

商品によって値上げ幅やそのリスクは異なるが、今後さらに上昇しそうなものの一つが小麦製品だ。小麦粉やパン、パスタなどは、政府の輸入小麦売渡価格の上昇を要因の一つに値上げが進んでいる。この売渡価格は22年10月の改定でさらに引き上げられる可能性があり、今後の値上げリスクも高い。この他、原料の輸入依存度が高い油関連製品、紙製品などにも注意が必要だ
商品によって値上げ幅やそのリスクは異なるが、今後さらに上昇しそうなものの一つが小麦製品だ。小麦粉やパン、パスタなどは、政府の輸入小麦売渡価格の上昇を要因の一つに値上げが進んでいる。この売渡価格は22年10月の改定でさらに引き上げられる可能性があり、今後の値上げリスクも高い。この他、原料の輸入依存度が高い油関連製品、紙製品などにも注意が必要だ
■輸入小麦は過去2番目の高さ
■輸入小麦は過去2番目の高さ
注)輸入小麦の政府売渡価格(5銘柄加重平均)の推移。農林水産省「輸入小麦の政府売渡価格について(価格公表添付資料)」から編集部で作成

生活防衛のための「買い物4つの鉄則」

【鉄則1/駆け込み買い】買う時期を間違えると高値つかみのリスクが

 腐らないものや耐久消費財は、今のうちに買い替えや買いだめを検討したい。経済評論家の加谷珪一氏は、「パソコンや白物家電は確実に値上がりが進む」と予想する。価格が高ければ、その分値上げ幅も増えるので、高額な買い物は予定を前倒ししてでも、今のうちに済ませておきたい。

通常、値上げのニュースは数週間前には発表される。腐らないものなら、価格改定前にまとめ買いや買い替えを進めたい。家電やクルマなど、高額で長く使う買い物を視野に入れている人は、今すぐ購入を検討したい
通常、値上げのニュースは数週間前には発表される。腐らないものなら、価格改定前にまとめ買いや買い替えを進めたい。家電やクルマなど、高額で長く使う買い物を視野に入れている人は、今すぐ購入を検討したい

【鉄則2/多重セール】「得が重なる日」狙いで還元率をさらにブースト

 買い物をする店のバリエーションも増やしておく。これまで以上に重視したいのは通販サイトの活用。「楽天西友ネットスーパー」のほか、「Amazonフレッシュ」やAmazonと提携するライフやバローなどのネットスーパーを通して、生鮮食品も買いやすくなっている。複数のサイトで価格を比べれば、目当ての商品をより安く購入できるだろう。

価格を比較しやすいECサイトでは、少しでも安い商品を最も得な日に買うべき。複数のセールやイベントが重なり、通常のセール以上の高還元が得られる日を狙いたい
価格を比較しやすいECサイトでは、少しでも安い商品を最も得な日に買うべき。複数のセールやイベントが重なり、通常のセール以上の高還元が得られる日を狙いたい

【鉄則3/ポイ活見直し】最得手段は刻々と変化 取りこぼしを避ける

 買い物などでポイントを得て実質値引きにつなげる「ポイ活」は必須。既にやっている人でも、制度変更で今までの買い方が最得な手段ではなくなっているなど、不十分なことは多い。通販でもリアル店舗の買い物でも、イベントを狙ったり決済手段を工夫することで、さらに数%~20%得できるチャンスがある。特に通販では、開催期間や条件が重なることで複数のセールの恩恵を一度に享受できることもある。

 他にも、セールでポイントが得られる上限まで買い物をして、残りは翌月に回すなど細かい戦略が複数ある。これらを組み合わせれば、ポイントだけで商品の値上げ幅をカバーし得る。得な方法は刻一刻と変化していくので、情報収集が欠かせない。

制度や提携ポイントの変更、新しいクレカの登場などで、ポイ活の最適解も変化している。得な手段を見逃していないか、定期的に確認すべきだ
制度や提携ポイントの変更、新しいクレカの登場などで、ポイ活の最適解も変化している。得な手段を見逃していないか、定期的に確認すべきだ

【鉄則4/PBフル活用】割安で食べやすさも秀逸 コンビニ冷食が狙い目に

 スーパーやコンビニでは、プライベートブランド(PB)商品を積極的に活用する。大手メーカーのナショナルブランド(NB)商品の値上がりが続く中、イオンが「価格据え置き」宣言するなど、値上がりを抑えるPBは複数ある。もともと割安なうえ、今後さらにNB商品との価格差が開く可能性もある。

大手メーカーなどのNB商品に比べ割安で、値上げリスクも低い傾向があるPB商品。コンビニの冷凍食品は食べやすさにも工夫があり、味わいの進化やラインアップの拡充も進む
大手メーカーなどのNB商品に比べ割安で、値上げリスクも低い傾向があるPB商品。コンビニの冷凍食品は食べやすさにも工夫があり、味わいの進化やラインアップの拡充も進む

 生活費を切り詰めるという意味で、消費行動を変える重要性も高まる。例えば、食材の高騰に加え、「近年の最低賃金上昇も圧迫材料」(帝国データバンク情報統括部の飯島大介氏)という外食は大幅な値上げリスクにさらされている。内食に切り替えることで支出減につながる可能性は高い。

注)食パンは山崎製パンの2022年7月1日の出荷分から。パスタ、パスタソース製品は日清製粉ウェルナの22年8月1日納品分から。家庭紙製品全品は日本製紙クレシアの22年4月1日出荷分から。家庭用マヨネーズ(マヨネーズタイプ製品含む)は味の素の22年3月1日納品分からの価格改定で、各社リリースを基に作成

(写真/古立康三、PIXTA)

注)「逆境に勝つマネー術」は、「日経トレンディ」2022年7月号に掲載しています。日経クロストレンド有料会員の方は、電子版でご覧いただけます。
▼関連リンク 「日経トレンディ」(電子版)
「日経トレンディ2022年7月号」の主な内容を紹介
【逆境に勝つマネー術】
PART1 投資編
●「預金だけ」では資産は守れない! 株、投信、外貨、金、不動産でインフレ対抗
●変動金利を選ぶ時代は終了? 今こそ住宅ローンの借り換えのラストチャンス
PART2 買い物編
●値上げラッシュが家計を直撃。全35ジャンルの値上がり予測を大公開
●有利な決済・店舗イベント・株主優待をフル活用! 21チェーン店の得ワザを徹底調査
PART3 固定費編
●スマホ料金の乗り換えリスクは“ゼロ”。サブブランドなら5割以上安くなる
●値上がり・撤退リスクをどう避ける? 新電力乗り換え4つの鉄則
【「100円ショップ」ベストバイ52】
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