2022年6月3日発売の「日経トレンディ2022年7月号」 ▼Amazonで購入する では、「逆境に勝つマネー術」を特集。投資環境が大きく変化し、資産運用についてあらためて考える必要が出てきた。今後の株価や為替を左右する3つのポイントが「ウクライナ危機」「インフレの進行」「米国の金融引き締め」だ。相場の混乱や物価急上昇のピンチをチャンスに変える投資で資産価値を守りたい。

※日経トレンディ2022年7月号より。詳しくは本誌参照

投資でインフレに対抗して、資産を防衛
投資でインフレに対抗して、資産を防衛

 2022年初めから軟調だった国内外の株式相場は、2月後半以降、ウクライナ危機と米国の金融引き締めへの警戒から一段と不安定な動きに。同時に円安ドル高の急進、債券の下落、金価格の上昇と、投資環境がにわかに大きく変化している。資産運用について、あらためて考える必要が出てきた。

■主要資産の値動き(円換算ベース)
■主要資産の値動き(円換算ベース)
注)2020年末の値を100として指数化。国内株式は日経平均株価(配当込み)、国内債券はNOMURA-BPI総合、先進国株式はMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)、先進国債券はFTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)、金は円建て小売価格(三菱マテリアル)
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 今後の株価や為替相場を左右するのが、下に挙げた3つのポイントだ。ロシアの軍事侵攻によるウクライナ危機は、事態沈静化の時期が読めない状況。ロシア、ウクライナはエネルギーや穀物の世界の供給源であるため、危機が長期化・深刻化となれば、資源価格の高止まりや一段の上昇により世界的にインフレが進むことになる。

株価や為替を左右する3大ポイント
【1】ウクライナ危機
 急展開での事態沈静化は現状では望みが薄く、深刻化・長期化による資源高と、それに伴う世界でのインフレ加速が懸念される。また停戦となっても、ロシアへの経済制裁や資源価格への影響は当面続きそう。

【2】インフレの進行
 米国の消費者物価指数は4月に前年同月比8.3%上昇。数カ月にわたり、約40年ぶりの高インフレが続いている。国内の消費者物価指数(総合)も4月に同2.5%上昇。企業業績や家計への負担が増す。

【3】米国の金融引き締め
 5月の0.5%の利上げにより、米国の政策金利は0.75〜1%の幅に。市場では22年中に2.5%程度までの引き上げが予想されているが、それを上回る可能性もあり、世界景気の減速が意識されることに。

 米国では約40年ぶりの高水準のインフレが続く中、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ対応のため、政策金利を積極的に引き上げることを表明。5月に0.5%の大幅利上げが実施され、市場では6月、7月にも0.5%ずつの利上げを織り込んでいる。

 高インフレが収まらない場合、米国の利上げペースが現在の市場想定を上回る可能性もある。欧州中央銀行(ECB)が、7月にも11年ぶりの利上げに踏み切る公算も大きくなっている。インフレと金利上昇による世界景気の減速懸念が強まれば、株価には下押し圧力がかかる。日米金利差の拡大により、円安の動きも強まる。円安は日本の輸出企業にとってはプラスだが、内需企業にはコスト増の影響が大きい。

 これら3つのポイントと流れを押さえたうえで、今後の世界情勢を見ていくことが大切だ。個人の投資の面で考えると、相場が下がっているときは仕込み時でもある。仮にロシアとウクライナの停戦交渉が再開・進展するようなら、前述と逆の流れで、インフレの落ち着き→利上げ加速懸念の後退→株価上昇という方向性も見えてくる。割安感がある日本株の見直し買いもあり得る。

資産価値の目減りを防ぐ投資

 先行き不透明感が強い中で、個人としてまず考えておくべきはインフレへの対応だ。ウクライナ危機がいずれ沈静化したとしても、国際協調の枠組みが崩れたことで、世界経済の分断化の流れは残る。資源や食料などの供給が制約されることで、モノの値段が上がりやすくなるという構造変化は意識しておく必要があるだろう。

 そもそも、経済成長は適度なインフレ率の上昇を伴うもの。日銀はインフレ率2%を目標に掲げている。外的要因が主ながら、22年4月の国内の物価上昇率はこの2%を上回った。

エネルギーや食料の価格上昇を主因に、4月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比2.5%(値動きの大きい生鮮食品を除くと2.1%)に達した
エネルギーや食料の価格上昇を主因に、4月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比2.5%(値動きの大きい生鮮食品を除くと2.1%)に達した

 インフレ下では、預金だけでは資産を守れない。モノの値段が上がるということは、お金の価値が下がるということだ。現在の100万円は、インフレ率が2%なら5年後の実質価値は90.5万円に下がる。10年後は82万円、20年後は67.2万円だ(下グラフ)。預金の利息ではこの目減りは補えず、モノを買うためのお金(資産価値)を中長期的に維持できなくなる。つまり、投資の重要性が増す。

■インフレによりお金の実質価値が下がる
■インフレによりお金の実質価値が下がる
現在の100万円は、インフレ率1%なら20年後に実質価値が約82万円に低下。2%なら同約67万円、3%なら同約53万円にまで減る(グラフのインフレ率は年率。金額は小数第2位を切り捨て)

 インフレに強い資産として投資の候補になるのは、まずは株式。過度なインフレは経済にマイナスだが、適度なインフレと経済成長は中長期的には並行する。企業業績が拡大することで、株価は上がる。これは、株式を主に組み入れる投資信託でも同じだ。

 インフレは円安とも相互に関係しており、外貨商品も値上がりしやすい。代表的なのは外貨預金だ。海外株式や外国資産の投信も、円ベースでの価格が押し上げられる。またモノの値段が上がるので、金やコモディティー(原油や農産物など)、不動産といった実物資産の価値も高まる。

■インフレに強い資産

【株式】モノやサービスの値段が上がると、それを扱う企業の収益が拡大。経済全体が成長することで株価水準も高まる
【投資信託】株式を中心に組み入れる投信であれば、企業業績の拡大や経済成長に伴って値上がりする(債券中心の投信は別)
【外貨商品】インフレと円安はリンクするケースが多い。外貨商品は円安によって円ベースの価格が上昇するため有利になる
【金・コモディティー】実物資産(モノ)である金やコモディティー(原油や農産物など)は、インフレ下で値上がりしやすい
【不動産】マンションや戸建て、ビル、土地などの不動産は実物資産の代表格。特に好立地の物件は、インフレ耐性が高い

 一方でインフレに弱いのは債券。金利上昇により、債券価格には下落圧力がかかる。長期固定金利の貯蓄型保険も、インフレが続けば将来受け取る保険金の価値が下がるので不利だ。

 そして、公的年金もインフレに弱い。マクロ経済スライドという仕組みにより、物価上昇率ほどには金額が増えないためだ。この点でも、将来に備えた資産運用はやはり重要といえる。

■インフレに弱い資産

【現金・預金】お金の価値が低下していくため、現金や利息が僅かな預金を持っているだけでは、購買力を次第に失っていく
【債券】インフレは基本的に金利上昇を伴う。金利上昇局面では、債券価格は下落する。特に信用度が低い債券は厳しい
【保険】長期で金利(予定利率)が固定されるタイプの貯蓄型保険(終身保険や養老保険、個人年金保険、学資保険など)は、インフレが進むと、将来受け取る保険金や年金の金額の価値が大きく目減りすることになるため不利だ
【年金】公的年金は、世の中の物価上昇や賃金上昇に合わせて支給額を増やすマクロ経済スライドという制度を導入している。しかし仕組み上、物価上昇率ほどには金額が増えないケースが多く、インフレが続くと価値は目減りする


注)逆境に勝つマネー術は、「日経トレンディ」2022年7月号に掲載しています。日経クロストレンド有料会員の方は、電子版でご覧いただけます。
▼関連リンク 「日経トレンディ」(電子版)
「日経トレンディ2022年7月号」の主な内容を紹介
【逆境に勝つマネー術】
PART1 投資編
●「預金だけ」では資産は守れない! 株、投信、外貨、金、不動産でインフレ対抗
●変動金利を選ぶ時代は終了? 今こそ住宅ローンの借り換えのラストチャンス
PART2 買い物編
●値上げラッシュが家計を直撃。全35ジャンルの値上がり予測を大公開
●有利な決済・店舗イベント・株主優待をフル活用! 21チェーン店の得ワザを徹底調査
PART3 固定費編
●スマホ料金の乗り換えリスクは“ゼロ”。サブブランドなら5割以上安くなる
●値上がり・撤退リスクをどう避ける? 新電力乗り換え4つの鉄則
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