
米グーグルの開発者会議「Google I/O 2022」の中で、特にマーケターを対象としたセッションがアクセス解析ツール「Google Analytics(アナリティクス)」の説明だった。既に同社は、従来版を23年7月から終了すると発表しており、新版への乗り換え猶予は約1年。I/Oで説明された内容から新機能のポイントを読む。
Google I/Oの「Google Analytics(グーグルアナリティクス)」セッションで重点的に紹介したのは、最新版「GA4」の顧客データの自動抽出機能だった。「機械学習によって、近い将来どのユーザーが顧客になるかを予測し、顧客獲得キャンペーンのオーディエンス(広告の対象者)リストを作成できます」と説明員が話し、実際の手順をデモした。
メニューから「お薦めのオーディエンス」を開き、その中の選択肢から「今後28日間に最も収益を上げると予測されるユーザー」を選んだ。すると横軸には収益を上げそうな人の順位を示す指標、縦軸に予想収益を示すグラフが出てくる。
横軸で上位5%を選んだときのユーザー数は4633人で、この人々を対象に広告キャンペーンを打ったときの予測収益は1106.85ドルと、数値をはじき出す。横軸の選択範囲は画面上で自由に変更できる。試しに横軸を57~73%の範囲に移動させると、ユーザー数は約1万5000人に増えるが、予測収益は0.73ドルと大きく減る様子を見せた。
「設定画面でGoogle広告に正しくリンクされていれば、これらのユーザーに簡単にリーチしてキャンペーンを打つことができるのです」と担当者は話し、自動抽出のメリットを強調した。
この他にもトップ画面の「インサイト」という欄で数値の異常や、予測と異なる結果が出ているときに告知してくれるという機能も紹介した。「新規顧客の予測コンバージョンは最大208でしたが、実際には291を獲得できています」といった具合だ。普段は見落としがちな隠れた変化を発見するうえで役に立ちそうだ。
無料版は23年7月から利用不可に
グーグルがGA4を発表したのは2020年10月。2012年から使われてきた従来版「Universal Analytics(以下、UA)」を置き換えるものとなる。UAは、一定量までなら無料で利用できることもあり、アクセス解析の定番ツールとして浸透してきた。個人データ管理サービスを開発するDataSign(データサイン、東京・新宿)の調査によると、22年5月時点で約3800社の上場企業のWebサイトのうち9割超がGoogle Analyticsを利用しているという。
▼関連リンク(クリックで別サイトへ) 教えてURL調査レポート(DagaSign)このGoogle Analyticsがマーケティング業界の中で騒ぎになっている。グーグルが22年3月、無料版のUAを23年7月に停止すると発表したのだ。以降は新たなデータ分析ができなくなる。その後は、少なくとも23年内は分析済みデータにアクセスできるものの、いずれそれらのデータも表示できなくなる。有料版も23年10月をもって機能を停止する。
これまでUAを活用してきた利用者にとって、残された猶予は1年あまりとなる。それまでに過去のデータを取り出して保存するのはもちろん、新版のGA4へ乗り換えを済ませる必要がある。移行のテストなどを踏まえて考えると、「まだ1年ある」などと悠長に構えてる余裕はなさそうだ。
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