
米グーグルが2022年5月11~12日に開催した開発者会議「Google I/O 2022」では、脱クッキーの動きが広がる中、健全なネット広告市場を維持するために開発する「プライバシーサンドボックス」に関するセッションが多く見られた。22年1月に発表した「Topics API」についてグーグルの説明を読み解く。
なぜグーグルはまだWebブラウザーのサード・パーティー・クッキーをブロックしていないのか――。Google I/O 2022のセッション内で提示された疑問に、グーグルの開発担当者はこう答えた。
「明確な代替手段を提供せず、単にサード・パーティー・クッキーをブロックすれば、フィンガープリンティング(Webブラウザーのバージョンやハードウエア情報を取得してユーザーを特定する技術)やIPアドレスによる追跡技術への移行につながる」
この言葉は、米アップルが進める急激な“脱クッキー”の姿勢に対する批判を含んでいる。米アップルは17年から段階的にWebブラウザーでサード・パーティー・クッキーの制限を始め、20年3月からは完全ブロックに踏み切った。追跡機能のいたちごっこを促すのではなく、プライバシーを適切に保護できる広告技術を推進していく、というグーグルの宣言だ。
プライバシーに配慮したネット広告の提案仕様「プライバシーサンドボックス」の構想を公表したのは19年8月。その中でも個人を特定せずに、プライバシー化された広告を配信するための中核技術がFLoC(フェデレーテッド・ラーニング・オブ・コホート)だった。ユーザーの利用動向をWebブラウザーのChromeが解析し「コホート」と呼ぶグループに分類するという仕組みだった。「フィンガープリンティングがしやすくなる」など批判が集まったことで現在は開発を停止している。
そのFLoCに代わる新しい仕組みとしてグーグルは「Topics API」を22年1月に発表した。22年4月からパソコン用のChromeやスマホ用OSのAndroidでもTopics APIのテストが始まっている。ここからはTopics APIの詳細を見ていこう。
興味関心トピックを3週間分だけ記録
Topics APIはその名の通り、ユーザーが興味を持つ「トピック」に関する仕組みである。まずChromeは、ユーザーが訪問したサイトのURLの文字列から、AI(人工知能)を使ってトピックを推測する。運動に関するURLであれば「フィットネス」、旅行系であれば「トラベル」といった具合だ。トピックは1週間ごとに記録し、3週間分を保存する。古い項目は削除する。
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